アクアソムリエが教える!ウォーターサーバーの水の種類と特徴

鶴田雅人

日本アクアソムリエ協会認定 アクアソムリエマイスター・公認講師。 水の味の違いに興味を持ち、国内外のミネラルウォーターを飲み比べている。 日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」、 フジテレビ系列「99人の壁」など、メディアにも多数出演。

Twitter:https://twitter.com/aquasomme

こんにちは。アクアソムリエの鶴田雅人です。

このご時世、なかなか外に出るのをためらってしまいがちですよね…。私もその一人で、買い物なども、出来るだけ家庭から一人だけで行くようにしています(ちなみにウチの場合は、妻です。私が行くと、買うべきものが分からない&メモをもらっても買い忘れるので…)。

だから、というわけでもないですが、昨今ウォーターサーバーに、より注目が集まっているのかなーと感じます。

ウォーターサーバーの需要は上がり続けている

日本宅配水&サーバー協会によれば、2020年の製造量は1,393,000KL、顧客数は4,350,000台、成長率は各103〜105%くらい(いずれも推定)と、緩やかではありますが、ここ5年くらい右肩上がりの成長を続けています。

日本のウォーターサーバー顧客台数(日本宅配水&サーバー協会による)

出典:日本宅配水&サーバー協会

コロナ禍で、「家族総出でお水の箱買い&買いだめ」のようなオペレーションが難しくなっていると感じるので、おそらく2021年も成長傾向にあるのではないかと思います。

私の知人にも、ウォーターサーバーを契約されている方はけっこういるのですが、皆さんだいたい、コストや利便性などは気にされていても、「それがどんなお水なのか?」は、あまり気にされていないようです

そこで今回は、「ウォーターサーバーのお水、どう違うの?」というテーマで、お水の種類を分かりやすくまとめてみたいと思います。

同じお水を毎日飲むわけですから、「それがどんなお水か?」というのは、かなり大切です。
もちろん、コストや利便性を否定するものではなく、お金も大事です。ですがその辺りはメーカーにより、かなり契約条件が異なるかと思うので、今回はその辺りには触れずに、「お水の質」にフォーカスしてお話したいと思います。

ウォーターサーバーのお水の種類について

ウォーターサーバーのお水は、ざっくり以下の4つに分類できます。

  • 天然水(ミネラルウォーターと同じ)
  • RO水(純水) 
  • RO水にミネラル添加したお水
  • 水道水をフィルターろ過したもの

先にまとめると、こんな感じです。

ウォーターサーバーの水の種類

スクロールできます
おいしさ
(主観による)
一般的なコスト
(例外あり)
天然水◯〜◎中~高
RO水×
RO水
+ミネラル添加
水道水
+フィルター

順番に解説していきます。

天然水(ミネラルウォーターと同じ)

これは書いてそのまま、天然のお水を殺菌または除菌して、ボトリングしたものです。基本的には、コンビニやスーパーで売られているペットボトルのミネラルウォーターと同じもの、と考えて大丈夫です。

で、これが一番おすすめです天然のお水のミネラル成分をそのまま残していますし、味わいの面でも優れたものが多いです。コスト的には、RO水などより高い傾向にあるようですが、軟水であれば赤ちゃんの粉ミルクなどにもお使いいただいて大丈夫です

(※温泉水などで、軟水でも、極端にナトリウムやマグネシウムが多いものは、赤ちゃんには避けてください。パンフレットや外箱に成分記載があるかと思うので、一度ご覧になることをおすすめします。
「この数値、高いの?低いの?」と思われたら、い・ろ・は・すやサントリー天然水と比べてみてください。桁が変わるようなことがなければ大丈夫です。
※※単位に気をつけてください、「100mlあたり」と「1Lあたり」を揃えて比較してください)

あまりお水を気にされないと、「ウォーターサーバーのお水って、全部天然水じゃないの?」と思われる方もいるかと思いますが、違います。
お水の届く外箱などに、「品名 ナチュラルミネラルウォーター」などと書いてあれば、天然水です。
(ナチュラルウォーター、ミネラルウォーターでもok)

RO水(純水)

理科で言うところの純水です。お水から、雑菌・ウイルス・「ミネラル成分」などを取り除いたものです。

純粋な水分なので、天然水にあったようなミネラル成分(カルシウムとか)は入っていません

注意してもらいたいのは、元のお水が天然水であっても、RO膜を通していればRO水です。RO膜は優れた技術なので、基本的にはどのお水を使っても、出来上がるものには差異はない、とされています。

コスト面で安いことが多い、赤ちゃんにも安心してお使いいただける、ことなどはメリットですが、味はやはり画一的です。
色々な面を考慮して、お選びいただければと思います。

RO水にミネラル添加したお水

最近の傾向ですと、「RO水そのまま」よりは、一度純水にして、ミネラル成分を添加するメーカーさんが多いようです。
やはり、微量だとしても、カロリーのないお水でミネラルを摂ることができるのはメリットですし、ただの純水よりは、ミネラル添加した方が幾分飲みやすいです。

ただし、メーカーが添加するミネラルは、4〜6種類くらいのものが大半です。
カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどの、主要ミネラル(多量ミネラル、必須ミネラル)だけ、の場合がほとんどです。

もちろん、それが悪いということではありませんが、天然のお水の場合、自然の地層や岩盤のフィルターを通っているので、主要ミネラル以外に、さまざまな種類の微量ミネラル(亜鉛など)や、シリカなど、幾種類ものミネラルが含まれています。
やはりそうした天然水の方が、味わいに優れることが多いようです

とはいえ、RO水にミネラル添加したお水は、RO水よりはいくらか天然水に近いですし、コスト的にも優れるかと思いますので、ライフスタイルに合わせて選択してみてください。

水道水をフィルターろ過したもの

最近、増えているのがこちらです。水道水を利用したウォーターサーバーですね。
水道直結形と、自分でお水を汲み入れるものがあります。
やはり宅配でお水を受け取る手間に比べると、利便性が高いようです。

水道水の場合、地下水ベースの自治体もありますが、ほとんどは地表水(ダム、河川などの水)が原水です。また、水道法で塩素を添加すること(=安全性保持のため)が規定されているため、塩素や、消毒副生成物であるトリハロメタン類が水道水には含まれます。

ですが、水道水を利用するサーバーのほとんどには、浄水フィルターがついており、こうした物質を飲む直前に取り除き、より美味しく飲めるように設計されています。

水道水にはミネラルが含まれない?

水道水ベースの場合、よく誤解されるのが、「水道水にはミネラルがないんじゃないの?」というものです。
これ、完全に誤解で、「水道水にもミネラルは含まれています」。
というより、ミネラルの含まれないお水って、ごく一部の例外を除けば、科学的に純水を作らない限りあり得なくて(先述のRO水ですね)、
土地柄や地層にもよりますが、だいたい軟水のミネラルウォーターと同等くらいには、ミネラルが含まれていると考えてよいかと。

もちろん、お水の美味しさでは天然水に軍配が上がりますが、とは言え日本の浄水技術や水質は高いものです。それをサーバーでろ過したお水、というのは、日々の水分補給には十分なものだと考えます。

私も決してミネラルウォーターだけを飲んでいるわけではなく、家庭用浄水器を付けたお水とかゴクゴク飲みますので、アリな選択肢だと思います。

—–

で、改めて表にまとめると、こんな感じかなと思います。

ウォーターサーバーの水の種類

スクロールできます
おいしさ
(主観による)
一般的なコスト
(例外あり)
天然水◯〜◎中~高
RO水×
RO水
+ミネラル添加
水道水
+フィルター

ただ、もちろん例外はあります。

天然水でもコストの安いものはありますし、
逆に天然=ミネラル成分が土地によりまちまちなので、この味は私に合う/合わないというのもあろうかと思います。

サーバーの乗り換えはなかなか手間かと思うので、事前に試飲やお試しが出来るサービスとか、あるいは複数ある採水地から選べるメーカーなんかだと、その辺はより、よろしいかなと。

余談ですが、炭酸水が作れるサーバーや、
コーヒーの淹れられるサーバー(それは果たしてウォーターサーバーなのでしょうか…?)などもありますので、
コスト面は上がりますが、付加価値で選ぶならそういうものもアリです。

左:カフェ機能付きサーバー「Slat+Café(スラットカフェ)」
右:炭酸水メーカー付きサーバー「キララ」

ウォーターサーバーのお手入れの話

ウォーターサーバーのお手入れ、お掃除。されていますか?
これ、意外と盲点というか、忘れがちな方が多いです。
自動洗浄機能やメーカーによる定期メンテが付いているものもありますが、
だいたいのものは、ご自分でのケアが必要です。

サーバーの説明書に、お手入れの仕方と頻度が書いてあるはずなので、ぜひ一読されてみてください。

で、読んでみると、けっこう大変なことが書いてある場合が多いです。
この部品は週1回、この部品月1回、とか…。
人間なかなかそんなにこまめには出来ないものです(いや、出来れば最高ですが)。それでも、ご自分の可能な範囲で、取り組まれることを強くお勧めします。

というのは、ウォーターサーバー、意外と埃が溜まったり、ひどい時にはカビる場合もあります。
そうなると味を損なうだけでなく、健康面としてもよろしくないかと思いますので。

私も仲のいいお店で、サーバーの蓋を開けて中を見せてもらったら、ホントに黒くカビてた、なんて経験もあります(すぐに掃除してもらいました)。

せっかく良いお水を使っていても、こうなると悲しい話ですので、まずは一度取説を読んで、どこの部品に掃除が必要なのか、確認してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
買い物でお水を買うのが大変な方にとっては、ウォーターサーバー、本当に便利なアイテムかと思います!
今日のお水の話を念頭に置きつつ、お値段や利便性なども考えて、ぜひご自分の1台を選んでみてください。

鶴田雅人

日本アクアソムリエ協会認定 アクアソムリエマイスター・公認講師。 水の味の違いに興味を持ち、国内外のミネラルウォーターを飲み比べている。 日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」、 フジテレビ系列「99人の壁」など、メディアにも多数出演。

【監修者】中倉大吾

株式会社スタークラフトの代表取締役社長を務めながら、水のスペシャリスト「アクアソムリエ」としても活動する。2013年5月からウォーターサーバーの比較メディアを運営開始。10年以上にわたってウォーターサーバー業界を見てきた豊富な知見を生かし、2019年にはより総合的でユーザーに寄り添ったウォーターサーバー比較サイトとして「水ナビ(当サイト)」を立ち上げる。また宅配水業界における正しい情報発信を推進するため、一般社団法人「日本宅配水&サーバー協会(JDSA)」の協賛会員に加盟。
※アクアソムリエは、日本アクアソムリエ協会の認定資格です。著者の所有資格について、詳細はこちらをご覧ください。またこちらからアクアソムリエ協会のプロフィールもご覧になれます。