水飲んでますか?
どうも、水のサイトだからもはや潔く水をぐいぐい押します、本記事は漫画家サミィ・チャンがお届けします。
いやあ、夏ですね。みなさまはきちんと夏の対策されてますか?
なになに?冷凍庫には都知事みたいな首に巻けるタイプのお洒落なアイスノン(もちろんカラーは緑色)に、棒アイスを箱で常備、冷蔵庫には藤原の竜也さんもびっくりのキンキンに冷えたビールにスイカ、冷ややっこ、枝豆、チョコレート、プリンにゼリーにetc……わかる、もはや夏関係ないもん。ほんと、備えるよねえ~……。
常備。それは厳しい時代を生き抜いた先人から伝わる生活の知恵。しかし、だがしかし。様々な場所で様々な物が容易に手に入るようになった現代において、まさにそれは脅威。そしてわたしたちは見失った。
本物の空腹を!自分の体でありながら『勘違い空腹で暴飲暴食が止まらない人が多い』ってどういう事??
【著者】サミィ・チャン
漫画家、作家。「サミィ・チャンの終日ギャグ生活」ライブドアブログ公式ブロガー。
関西出身、東京都在住8年目。続々と友人知人が結婚し、彼らの背中が圧倒的に遠くなったと感じた時、何を血迷ったのか4コマ漫画家になろうと決意。
ブログの書籍化の後、中の下程度の人気を保ちながら、ちょこちょことコラムや漫画の仕事をし、築35年古マンションの最上階角部屋で死ぬほど細々と暮らしています。著書『ダメ子ライフ』(売上も中の下だったとか)
ブログ http://sammychang.blog.jp/
ツイッター https://twitter.com/samicolife
ちょうど一年前に味わった恐ろしい体験『満腹喪失』
ちょうど一年くらい前の夏、わたくしはある大きな悩みを抱えていました。それは『満腹がわからない』事。
ずっと食べていられる気がするのです。例えば食べ放題、や、回転すしという様な場所に行けば『もう食べれない』という『状態』にはなりました。
けれど、そんなにしょっちゅう外食をするわけでもなく、気づけば『みんな、どうやって食事の終わりを決めているのだろう』などと考える始末。
そんな風に何かに違和感を覚えながらも『何か食べたいなあ』と言って無意識に冷蔵庫を開ける。
確かに、ストレスや女性特有のものも関係していたとは思います。
それも含み『何か食べたい=お腹空いた』という考えは常に絶えず、どこかで、どうにかしなきゃなあ、とは考えるものの、結局その後ろめたさも暴飲暴食を更に加速させそしてその沼にずぶんずぶんに沈み込んでしまっていたのでした……助けて!水!早めに出てきて!
友人の何気ない言葉ではっきり思い出せた正しい『空腹感』
『その空腹、勘違いじゃない?』
友人からそう言われた時は驚きで目玉が本当に落ちたのではないか?と思うほどで、念のために触ってみたら、ただ目がちっさかっただけで泣いたんですけど。目の話はさておいて、友人は言うのです。
『それ多分、喉乾いてるんだよ』と。
……え、嘘やろと。喉乾いてたらわかるやろ。と。むしろ、その際は三ツ矢かデカビタかポカリ買うだろうと。空腹を勘違いなんかするわけ……とそこまで言いかけて猛烈に自分に、自分の腹辺りに、思い当たりを感じるのです。
お腹ぐーぐー言ってるか、胃がきゅうきゅうなっているか、これは今、お腹空いている?
腹ペコがわからない訳ないじゃん!と最初は思うのです。
まして、「何か食べたいな、勘違いかな、喉乾いてるんかも」なんて、そんな事考えた事もなく。しかし思えば考える事と、意識を向けて自覚することは全くの別物で、そして、ハッとするのです。自覚って案外足を止めてじっくり見ないと見落としたり見逃したりしてしまうようなあまりに何気ない存在だったと。
そうして、ようやくわたしはお腹空いてたを勘違いしていたと気づき、同時に、友人の言う『喉乾いてるかもしれない可能性』も己の身で確かめようと決めました。(やっと水が来たわ。お待たせ)違うなら違うでいい。でも自分がわからないまま生きるのは何かやっぱり変だから。
何でもないような水が大切だったと気づくまで
それからというもの、わたしは『ああ、何か食べたいなあ』を感じる事を合図に水を飲むようにしました。
時々ダイエット法などで見る『水で腹を膨らませる』のではなく、あくまで目的は『その空腹、ほんまは喉乾いとるんとちゃうか?』の検証です。
もちろん個人差はあると思います。信じ込む執念的な粘り気も大きく関係すると思います。(よかったわたしめっちゃネバネバしてる涙)その上で、わたしには、その効果はてきめんでした。
わたしがそれまで感じていた『空腹』のほとんど(体感的には9割と言いたいと思います)は喉を水で潤すことで解消しました。喉が渇いとったのです!
時にはチョコ食べたいなあ、と具体的な物質が思い浮かぶ時もありましたが、その際も一回とりあえず水を飲みました。
治まりました。脳が口に何かを入れる事を総称して『オナカスイタ』と覚えそう呼んでいたのかもしれないと思うほどに。
余談ですが、時々炭酸水(無糖)やお茶(無糖)を飲んでみたりもしましたが、自分的には普通の水が一番自然に完結できた印象です。自然な完結とは、正しく足りた事を感じられたという事です。
二度と戻りたくない、自分を知らない自分
後に『勘違い空腹、喉の渇き』関連の話題をネットや雑誌などで見聞きし、なるほど結構広く知られていた常識なのだなと気づくことになるのですが、頭で理解するって意外と案外罠だわ、と思うのです。
一人暮らしでも家族でも、漫画描きも、ママパパも、息は抜けども、大人って、どうやったって気合入れて乗り切らないといけない場面がいっぱいあって、自分の体感を自覚する時間なんてガンガン省きながら飛ばし続けて、気が付けば、『喉が渇いてるんじゃない?』という素朴な質問さえ「よくわからない」としか答えられなくなったりして。
水を差すなんて言葉もある程に、水を飲むことは、時々勢いを止めてしまう面倒事に感じる時もあります。だからこそ、水を飲んでいない時ってどこか何かに生き急いでいる時と言えるのかもしれません。
色気より食い気、食い気より食い気!これからの時期ますますどんどん加速する暴飲暴食の波、今何かを食べながらこれを読んでいるあなた。それ、本当の『食べたい』ですか?もしかしたら喉が渇いてるんじゃないでしょうか。