こんにちは!髙田ナッツです。普段はネコノラ通信で夫婦マンガを描いています。
アタシ(富士額わがはい)は、誰かにプレゼントを選ぶ時、できるだけその人の立場になって、とっても慎重に選びます。というのも、母が全くそれができない人だったからです。
母は性格が天然なためか、プレゼントを選ぶセンスがエキセントリックだったんですよね。くやしいことに、アタシにもその血が受け継がれているでしょうからね。おのずと、贈り物には慎重になっちゃうんですよ。
今回は、幼少期に母から貰った目をおおいたくなるような代物を、ランキング形式で発表致します。
【第3位】魔法少女になりたくて…
幼少期、「魔法使いサリー」をアニメで毎週欠かさず見ていたアタシ。オシャレな紅いワンピースにくせっ毛の、ハーフっぽいいでたちの女の子にもう夢中でした!
主題歌は空で歌えるし、父とお風呂に入れば、サリーちゃんのパパの髪型をシャンプーで作ったり、モノマネを無茶ぶり。紅いスカートだって持っているし、アタシは近い将来、サリーちゃんみたいなステキな魔法少女になるんだ!と、希望に燃えていた時、そのCMに出会ってしまったんです。
そう、サリーちゃんのおもちゃのステッキのCMです。これさえあれば、アタシは魔法少女になれる!そう確信したアタシは、誕生日に母に、「サリーちゃんのおもちゃが欲しい!」と、CMを指さして頼んでみたんです。
母は笑顔で「わかった!おもちゃ屋さんで探してみるね」と約束してくれました。
そして待ちに待った誕生日当日…
そう…現れたのは、サリーちゃんの柄の、ゴミ箱…(゚Д゚;)
想像を絶する出来事に、硬直するアタシに、「どうせなら実用的なものがいいと思って」とケロリと言う母。泣きたい気持ちをぐっとこらえ、小さな声でお礼を言いました。
その晩、貰ったサリーちゃんのゴミ箱を枕元に置いて、ぼうっと見つめながら、アタシはサリーちゃんのような、魔法少女になるべく家庭環境が整っていないことを痛感し、「しょせん自分はなんの魔力もない、人間の子供なんだわ」と、かなりしょっぱい気持ちで眠りについたのでした。
振り返ってみると、あの時家計が苦しかったわけでもなく、たいして高くもない子供がねだるステッキを、なんで素直に買ってくれなかったのか。
アタシに子供はいませんが、もしいたら素直に買ってきたと思います。未だに謎です。
結局その苦い思い出のゴミ箱、捨てるにはなんとなく気が引けて、未だに実家の押し入れに眠っています。
【第2位】ファッションだけが雑誌じゃない☆
中学1年生の冬、風邪で寝込んでしまったことがありました。熱でうなされるアタシを可哀想に思った母。「何か欲しいものがあれば買ってくるわ!」と、めずらしく優しい言葉をかけてくれました。
アタシは、普段〝非行に走りそうだから〟という意味不明な理由で買うのを禁止されていた、憧れのファッション誌を、今なら買ってもらえるチャンス!だと確信し、母に「女の子向けの雑誌を買ってきて欲しいの」弱々しい声でお願いしてみたんです。
「わかったわ!任せて☆」真剣な表情で、買い物に出かけた母親の後ろ姿を見送りつつ、内心しめしめと思いながら、布団の中でほくそ笑み、そのまま眠ってしまいました。
さて、夕方起き抜けに、枕元の本屋の紙袋を開けてみてみると…
まさかの「ムー」(心霊・歴史秘話・怪談・魔術・超常現象などがテーマの、最長寿なオカルト雑誌)
雑誌は雑誌だけども…はたしてこれっ女の子向けなのか?それはピラミッドの秘密についての特集号で、アトランティスパワーという言葉が、風邪で寝込んでいる間中、ぐるぐると頭の中を駆け巡ったのでした(;^ω^)
母よ、アタシは問いたい。サリーちゃんはダメで、なぜムーはOKなのか?もしや母は、隠れムー民(「ムー」愛読者や投稿者のこと)だったのかしら?
【第1位】シルバニアファミリーのビジョン
堂々の第1位!小学生低学年の時にねだった、誕生日プレゼントのお話です。当時テレビCMで流れていた、シルバニアファミリーのうさぎ一家が暮らす「赤い屋根のお家」。お家を使ってお人形遊びができる、いわゆるドールハウスというやつです。
CMではミニチュア家具や遊具も、カントリー調のかわいいデザインのもので統一されていて、丁度その時期に、赤毛のアンを読んでいたこともあり、「こんな暮らしがしたい!」とポーッとなって、誕生日プレゼントとして母におねだり。
母も、動物たちの暮らす可愛い家ということで、すんなりオーケーを出してくれました。
そして誕生日当日。「赤い屋根のお家」は本当にやってきたのです!中を開けてみると…
ほ、ほんものだぁ~!!っと喜んだのもつかの間…
「あれ?動物一家と家具がない…」
そうなのです、これはアタシのミスでもあったのですが、「赤い屋根のお家」には、家具やうさぎ一家はついておらず、別売!だったのです…。
おそるおそる母にダメ元で「…うさぎ達は?」と聞いてみたのですが、「あなたはそんなにいくつも欲しがって…なんて強欲なの?」と返答されたため、それ以上は聞き返すことができませんでした。
小さなお家を目の前にして、落ち込んでいるアタシの姿を哀れに思った祖母が、後日牧場のお土産コーナーで売られていたという、鹿やリスの置物を送ってきてくれたのですが、自然そのままの姿(服などもちろん着ていない)の動物たちが、土足で人様の家に、入り浸っている様子にしか自分には思えず、結局お家は空のまま、部屋の片隅にひっそりと置き去りにしたのでした。
この事件の10年後、色々あって父母は離婚し、動物の置物を買ってくれた、優しい祖母も亡くなり、その後ほどなくしてアタシも家を出たのですが、お互い会ったりすることなく、別々の人生を歩んでいます。
家族の事を思い出す時、あの空っぽな、「赤い屋根のお家」を思い出すんですよね。あれは、家族の縁が薄くなるという、未来予測だったのではないかと。
以上、幼少期に母から貰った「残念なプレゼント」ベスト3を発表させていただきました。
アタシが、相手の立場に立って、物事を考えられるように、なれてきているのは(まだまだいたらない所は多々ありますが)、反面教師としての、強烈な母からの贈り物だったのかもしれません。