鶴田雅人
日本アクアソムリエ協会認定 アクアソムリエマイスター・公認講師。 水の味の違いに興味を持ち、国内外のミネラルウォーターを飲み比べている。 日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」、 フジテレビ系列「99人の壁」など、メディアにも多数出演。
Twitter:https://twitter.com/aquasomme
こんにちは。アクアソムリエの鶴田雅人です。
先日、BSよしもとのワシんとこ・ポストという番組に出演させていただいて、その際にも話題になったのですが、環境省が「令和の名水百選」を選定するそうです。
「名水百選」というのは、昭和で百選、平成で百選あり(平成の名水百選と呼びます)、現在では二百の名水スポットが認定されていることになります。
ここに新たに百選を加える、ということだそうです。(2024年頃の予定)
名水百選といっても、飲めないスポットもけっこうあります。
風光明媚な土地だったり、地元の水がめとなっている川だったり、そういった場所も含まれていますので、名水百選=そのまま飲用できておいしい、とはなりません。
今回は、飲める名水百選というところにスポットを当てて、都心からもほど近い千葉県の久留里に行ってみました。(平成の名水百選です)
久留里にはたくさんの井戸があり、湧水を汲める場所が数多くあります。
今回、久留里の中で8か所の井戸を周り、テイスティングをしまして、
正直、この井戸はあまり美味しくないな、というものもあったのですが、
美味しい湧水もありましたので、おすすめポイントをご紹介したいと思います。
アクセス
電車だとJR久留里線ですが、本数が少ないため、車の方がおすすめです。
アクアラインを横断すれば、都心や川崎からは1時間ほどでアクセスできます。
いわゆる名水スポットに行こうとすると、2〜3時間の移動は当たり前な部分があるので、都心から1時間ほどで名水百選に行ける、というのは案外穴場ではないでしょうか。
駅前に観光センターがあり、名水の地図などをもらえます。
それぞれの井戸はあまり離れていないので、歩いても回れます。
車があれば、駅から奥の方は車が便利です。
歴史
さすが水の里という感じで、そこかしこに自噴する井戸があります。
元々この辺りは雨が多いらしく、降った雨が大地に溜まり、湧水が出る下地はできていました。
そこに、19世紀頃から「上総掘り」という独自の井戸掘り技術が発展し、現在のような水の里になった、ということらしいです。
上総掘りの技術はとても画期的・先進的なものであったらしく、日本だけでなく海外にまで広まりました。
現在は機械を使う方法が主流ですが、人力で地下深く掘ることができる方法として、現在でも東南アジアやアフリカに技術が伝えられているそうです。
観光
湧水以外ですと、名水を使った地酒、蕎麦、レトロな雰囲気のカフェ、そして久留里城があります。
久留里城は戦国時代に里見氏が入城していた山城で、たいへんな山の上にあります…。
私も登ってみましたが、足がパンパンになりました。
山城だけあって、上に登ると景色は良いです。
また、歴史資料館も併設されているので、歴史好きな方や、先の井戸の話を知りたい方には良いかもしれません。
あとは、木更津の道の駅や海ほたるPAも一緒に遊べます。
名水
富山や新潟の湧水群を周った時の印象とは違って、正直、場所によって当たり外れがあるなという印象でした。
季節や天候、機器のメンテナンスなどにより湧水の味は変わりますので、 たまたま私が訪れた時のコンディションかもしれません。
でもその中でもおいしいスポットが3つほどありましたので、
ご紹介したいと思います!
新町の井戸
久留里駅を背にして、まっすぐ(北東)進んでいくとすぐあります。
徒歩3-4分ほどでしょうか?
ややこしいのですが、私のおすすめは、
新町の元井戸という方ではなくて「新町の井戸」です。
(画像のやつです)
Googlemap上では表示されない(違う場所になる)のですが、駅前でもらった地図にはばっちり載っています。
道路沿いにぽつーんとあります。看板が出ているので躊躇なく汲めますが、何もないとちょっと戸惑うかもしれません。
8つ井戸を周った中で、ここが今回の同率1位でした。
久留里のお水は、(私の私見ですが)場所によっては、金属臭や硫黄系の臭い、またはカナモノっぽい味が出ることがあり、そうしたスポットは点数を低く付けたのですが、
ここの井戸からは、そうした雑味はほとんど感じられませんでした。
余計な雑味がなく、軽やか・さわやかで、湧水らしい味だと思います。
マイナスなのは、ロケーション。 歩道のほぼない車道に面していて、車を停めることは難しく、 またゆっくり味わうのもちょっと難しいです(車の往来があるため)。
「新町の井戸」評価
ミネラル感 | ★★★★ |
すっきり | ★★★★★ |
おいしさ | ★★★★★ |
ロケーション | ★ |
田丸家の銘水
もうひとつの同率1位がこちら。田丸家の銘水です。
久留里駅からは少しだけ離れていて、歩いても行けないことはないですが、車の方が便利かもしれません。
こちらは2~3台ほど停めるスペースがあります。
駅前の井戸郡とは、少し系統が違うかな? という味わいです。
不思議なもので、同じ水系に属していても、掘るポイントが少し変わるだけで、味わいも変わることはままあります。
今回もそうした印象で、ここだけは、良い意味で少し味わいが違うように思いました。
ほんのりと、湧水特有の風味/香りを感じます。
京都の伏見っぽい感じというか…だいぶマニアックなんですが。
ここは金物臭や硫黄臭もまったくなく、すっきりと澄み切った味わいです。
車で来れますし、また車の往来もそう多くありません。
水を汲みながらゆっくりすることもできるので、ロケーションまで採点に入れれば、ここが今回のベスト湧水ポイントになります。
「田丸家」評価
ミネラル感 | ★★★ |
すっきり | ★★★★★ |
おいしさ | ★★★★★ |
ロケーション | ★★★★★ |
高澤の水(高澤家の名水)
次点、というか3位ですね。
上でご紹介した2つが、私の舌にはとても合っていたのですが、
こちらもおいしいお水です。
久留里駅を背に右側(南東方面)に少し(5~7分程度)歩いたあたりです。
お水からは少し離れた場所に、一応駐車場もあるみたいです。
すっきりとプレーンな味わいで、癖がなくお飲みいただけると思います。
「高澤の水」評価
ミネラル感 | ★★★★ |
すっきり | ★★★★ |
おいしさ | ★★★★ |
ロケーション | ★★★ |
おわりに
いかがでしたでしょうか。
都心方面から1時間程度で行けて、お水か歴史に興味のある方でしたら、1日楽しく遊べるスポットかと思います。
田丸家の銘水などは、ほんとに近くに住んでいたら、車でちょこちょこと汲みに行くだろうな…と思っております。
お近くの方も、そうでない方も、よろしければぜひ訪れてみてください。
(現地で買ったお水2本(左側)と、汲んだ湧水8本。
この旅に備えて、お水の空きペットボトルを溜めるのが大変でした)
鶴田雅人
日本アクアソムリエ協会認定 アクアソムリエマイスター・公認講師。 水の味の違いに興味を持ち、国内外のミネラルウォーターを飲み比べている。 日本テレビ系列「月曜から夜ふかし」、 フジテレビ系列「99人の壁」など、メディアにも多数出演。
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