美味しさと健康を届ける担い手として。食文化を明日へつなぐヨコオデイリーフーズ

美味しさと健康を届ける担い手として。食文化を明日へつなぐヨコオデイリーフーズ

55年にわたり地元・群馬県からこんにゃくの美味しさを全国へと広げてきたヨコオデイリーフーズ。

同社が運営する「こんにゃくパーク」は群馬県でも人気の観光スポットとなっています。

今回は躍進を続けるヨコオデイリーフーズの今について、管理事業本部の齊藤さんに伺いました。

株式会社ヨコオデイリーフーズ

齊藤 ちな実さん

管理事業本部

豊かな自然環境が育むものづくり

──まずはヨコオデイリーフーズの成り立ちから教えてください。

齊藤 ちな実さん(以下、齊藤さん) 弊社は1968年に群馬県富岡市でこんにゃく製造・卸として創業致しました。

1989年には有限会社ヨコオ食品工業を設立、1996年に株式会社ヨコオ食品工業に組織変更を経て、2010年に現在の株式会社ヨコオデイリーフーズに改名し、群馬県の特産品・こんにゃくの製造販売を行っています。

もともとは群馬県の富岡市が拠点でしたが、現在は史跡や文化財が多く残る甘楽郡甘楽町に本社および工場を構えています。

こんにゃくをテーマにした体験施設「こんにゃくパーク」の運営や、プロ野球球団「埼玉西武ライオンズ」のスポンサーも務め、事業の幅を広げてきました。

──群馬県は全国のこんにゃく芋の収穫量のうち9割以上を占める地域です。その気候や風土にはどのような特徴があるのでしょうか。

齊藤さん 群馬県は日照時間が平均的であるほか、水捌けの良い土壌を有する地域です。

山と谷、平野部が混在していることから、各エリアで野菜や果物の生産が盛んに行われています。

その中でも弊社が拠点を構えるのは、山間部に近く、土地が傾斜になっている中山間地域。
湧水が多い場所でもあり、こんにゃくの栽培には非常に適していると言われています。

こんにゃく芋は毎年10月下旬に収穫期を迎える

──こんにゃく製造における「水」へのこだわりを教えてください。

齊藤さん こんにゃくはその97%が水分でできており、こんにゃく作りと水は切っても切れない関係にあります。

そうした中で弊社は、地域の水資源を活用してものづくりを行ってきました。

私たちが拠点を構える甘楽町には、日本の名水100選にも選ばれている用水路、雄川堰(おがわぜき)が設けられています。

この雄川堰は今から400年近く前に作られたと言われており、古くから住民の生活用水として使われてきました。

弊社工場でも、雄川堰と同じ水脈の地下水を汲み上げ、商品作りに活用。自然のもの・地域の環境を積極的に取り入れています。

江戸時代から現在まで長い歴史を持つ雄川堰

しなやかな発想で幅広いラインナップを展開

──こんにゃく商品のラインナップは400種類を超えています。主力商品について教えてください。

齊藤さん 食卓の定番となっているのは板こんにゃくやしらたきですが、弊社オリジナルの商品として「月のうさぎ 田楽みそおでん」も人気です。

群馬県のソウルフード「焼きまんじゅう」はご存じでしょうか?

蒸したおまんじゅうにみそだれを塗ったもので、県内にはいくつも専門店があるほど人気のおやつです。

「焼きまんじゅう」と同じく「月のうさぎ 田楽みそおでん」にも甘辛いみそだれがついており、その味わいに親しみを覚える県民の方が多いのかもしれません。

ありがたいことに地元スーパー様をはじめ、全国のスーパー様にお取り扱いをいただいております。

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赤いパッケージが目印の「田楽みそおでん」

──ダイエット食やデザート類も数多く販売されています。商品開発はどのように行っているのでしょうか。

齊藤さん 新しいアイデアを取り入れる発想力と、それらを形にする実行力を強みに商品開発を行ってきました。

例えば、こんにゃく粉入りの「カスタード風プリン」を発売した際には、もともと横型だった形状を見直し、縦型に変更。

スーパー様の小さなスペースでもたくさんのパックを並べられるよう工夫を施しました。

こうした発想は、お客様のご要望や、社員から出る良いアイディアを取り入れていく流れになっています。

良いと思ったアイディアは、まず形にしてみる。開発への柔軟な姿勢が、弊社のものづくりにも反映されています。

また、新商品発売の際にはこんにゃくパークの物販ブースで先行発売を行い、お客様の声を伺うことも。

アレンジの幅が広いこんにゃくだからこそ、本当に「美味しく」食べていただきたい…そうした思いから、多様な意見を取り入れるよう心掛けています。

商品の原料は こんにゃく芋を乾燥・製粉した「こんにゃく粉」

既存の枠組みにとらわれず積極的にトライを続け、これからも多様な商品を生み出していきたいですね。

──こんにゃくを美味しく食べるためにおすすめのアレンジレシピを教えてください。

齊藤さん こんにゃくパークのバイキングゾーンで提供している「しらたきのかき揚げ」は、お客様からもご好評をいただいております。

パリッとした衣と、しらたきの芯に残るモチッとした食感が楽しいですよ。

通常のかき揚げと同じ工程で作れますので、ぜひご家庭でお試しいただきたいアレンジです。

野菜と一緒に揚げても美味しくいただける 「しらたきのかき揚げ」

こんにゃくの魅力を発信する食のテーマパーク

──食の体験型施設「こんにゃくパーク」についても教えてください。
齊藤さん 2014年にオープンした「こんにゃくパーク」は、こんにゃくの美味しさと文化を発信する施設です。

こんにゃくは日本人にとって馴染み深い食べものですが、その一方で、食卓では脇役になりがちな食材でもあります。

さらに年々消費量が減少していることも課題になっていました。

そうした中で、食物繊維が豊富でヘルシー、かつ健康効果の高いこんにゃくの魅力を、より多くの方に知っていただきたいという思いでオープンしたのがこんにゃくパークです。

エリア内には工場見学やバイキングのほか、手作り体験、こんにゃく詰め放題、遊び広場までさまざまなブースをご用意。毎年、約100万人の方にご来場いただいております。

大人も子どもも楽しめる手作りこんにゃく体験

来場されたお客様からは「こんにゃくの製造工程を初めて見ました」「今までこんにゃくはあまり得意じゃなかったけど、アレンジ料理を食べて美味しさに気づきました」等、嬉しいお声をいただいております。

バイキングエリアでは、こんにゃく料理や こんにゃくスイーツなど約15種類のメニューが並ぶ

こんにゃくパークの運営を通して「群馬といえばこんにゃく」というイメージをより一層広げていきたいですね。

また「食べる・学ぶ・作る・買う」といった総合的な体験をご提供することで、こんにゃくの魅力に触れる機会を増やし、結果としてこんにゃくの消費量アップへつなげたいと思います。

限られた資源を未来へつなぐために

──環境保全の取り組みについてはいかがでしょうか。

齊藤さん 弊社の工場では二酸化炭素の排出が少ない液化天然ガスを使用しています。

また工場から出る排水は処理設備によって管理され、クリーンな水に戻した上で排出されます。

本社屋上には太陽光パネルを設置することで、工場で使われる電力のうち約15%を発電。

建物内にもLED照明を取り付け、室温の管理と二酸化炭素の排出抑制を行っています。

本社屋上に設置されている太陽光パネル

こんにゃくパークでは、食品ロス削減への取り組みも始まっています。

工場で出された成形不良等の商品をバイキングコーナーで活用したり、1キロパックのお買い得商品として販売したりする等、さまざまな試みを行ってきました。

さらに施設内にある足湯コーナーでは、工場でこんにゃくをボイルする際の蒸気を使ってお湯を沸かしています。

今あるものを上手に活用し、さらに使った後のことも考える…ものづくりの各工程で環境に配慮した取り組みを行っています。

美味しく、楽しい食卓を支えるパートナーでありたい

──最後に、今後の展望について教えてください。

齊藤さん まずはこんにゃくの魅力をより多くの方々へ伝えていきたいですね。

こんにゃくは健康志向の強い日本で、昔から人々の食文化を支えてきた強い味方です。

現代ではたくさんの健康食品やダイエット食品もありますが、そこに化学的物質が入っているために手が出せないという方もいるかもしれません。

そんな時に、日本の食卓に馴染んできたこんにゃくという食材を上手く活用していただきたいのです。

健康のためにカロリー制限をされている方、ダイエット中の方、純粋にこんにゃくが好きな方…どんな人にも美味しく、楽しい「食」の時間を過ごしてもらいたい

だからこそ、美味しさにこだわった商品開発を続けることが大切だと考えています。

また、こんにゃくパークを通してより多くの方を群馬県に呼び込み、地域活性化へとつなげていきます。

私たちが地域の自然から恩恵を受けているように、私たちの作った商品を通して地域社会へ貢献する。

そうした良い循環を生み出し、この先も地域の環境と共に発展していきたいですね。

今年10月にはこんにゃくパークの隣接地に新工場を増設します。

新しい製造ラインでは、味つきこんにゃくやもつ煮込み等の総菜類、レトルト商品等のオリジナル商品を生産予定です。

これからも移り変わりの早い食品業界にアンテナを張り、スピード感を持って取り組むことで、食文化の発展に貢献していきます。

株式会社ヨコオデイリーフーズ

本社・甘楽工場

〒370-2202 群馬県甘楽郡甘楽町小幡204-1
TEL:0274-70-4000(代表) 
FAX:0274-70-4001

この記事の執筆者

三宅 菜穂

制作会社でライターとして働いた後、個人事業主として独立。各業界でのインタビュー経験を活かし、取材ライターとして活動中。

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