お魚と人間に優しい生活を——テトラに聞いた、アクアリウムを楽しむ秘訣

色とりどりの熱帯魚が泳ぐ、水槽の小宇宙・アクアリウム。「きれいだけど水の管理が大変そう…」と感じている人も多いのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが「テトラ」のアイテムです。水換えが長期間不要になる驚きのシリーズや、アマゾンの水質を再現する調整剤もあるそう。

今回は、「テトラ」ブランドを扱うスペクトラム ブランズ ジャパン株式会社 河井雅典さんにお話を伺いました。今こそ、憧れのアクアリウムに挑戦しませんか?

スペクトラム ブランズ ジャパン株式会社

河井 雅典さん

お魚を飼う文化がない時代に誕生したブランド

──人間の健康食品もなかった1950年代から、生き物の健康に配慮した製品を開発しているそうですね。まず、「テトラ」の成り立ちについて教えてください。

河井雅典さん(以下、河井さん) 70年以上前のドイツで、植物学者のウルリッヒ・ベンシュ博士がお魚を飼うために始めたのがきっかけです。

当時はまだ個人がお魚を飼う文化がなく、専用の餌も存在しなかった時代。虫やパンくずしかなく、お魚が長生きしづらい状況だったそうです。そんな中で、栄養フードを初めて作り、業界の先駆けになったブランドです。

──創始者は植物学の博士だったんですね。

河井さん はい。植物を実際に採って研究していたので、水辺の生き物にも親しみがあったんだと思います。

──現在は、ドイツと日本それぞれで商品開発をしているのでしょうか。

河井さん お魚の食べるフードや、飼育水を作る調整剤はドイツで開発・製造しています。国や地域ごとに水槽のサイズや飼育されるお魚に違いがあるため、飼育器具や水槽は日本国内で開発しています。

──本国のテトラ製品を輸入して販売するだけでなく、開発にも関わってらっしゃるのですね。

ドイツのメレ工場を中心に開発・製造(出典:テトラ公式サイト)

──他の国と比べて、日本の水槽は小さいのですか?

河井さん 住宅事情もあり、日本は30cm程の小さな水槽で始める方が多いです。他の国、例えばドイツは60cm以上の水槽がスタンダードですね。

長期間水換えの要らないお魚飼育に

テトラ 水リサイクル(出典:テトラ公式サイト)

──私自身、アクアリウムに興味はあるのですが、「水換え」のハードルが高くて踏み出せずにいます。そこで気になるのが、水換えの頻度をぐんと減らせる「水リサイクルシリーズ」です。
どのような仕組みで、長期間の水換え不要を実現しているのでしょうか?

河井さん そもそも、水換えをしないといけない理由はいくつかあるのですが、代表的なものの一つが「硝酸塩」が発生するからです。

お魚を飼っていると、水槽の中にバクテリアが増え、お魚のフンや食べ残しを少しずつ分解してキレイにするシステムができてくるんですね。その分解の際にアンモニアやアンモニウムが発生し、そのあと亜硝酸塩を経て硝酸塩になります。この硝酸塩はそのままだと消えず、水槽の中に溜まってしまい、お魚の調子が悪くなることも。。

水リサイクルシリーズを使えば、硝酸塩を分解する菌を増やせます。また、苔の原因になるリン酸の除去や、pH値(水が酸性かアルカリ性か表す尺度)の引き上げも可能です。

水リサイクルシリーズの仕組み(出典:テトラ公式サイト)

──水リサイクルシリーズを使うことで、お魚の健康に影響はないのでしょうか?

河井さん 水換えをしなくても健康的な状態を保てるように開発しています。実際に、お魚が大きく成長したり、発色が良くなったりという効果も確認できています。

──健康面もしっかり考慮されているんですね。ちなみに液体ですか?

河井さん はい、液体です。水槽やフィルターの中に直接入れて使えます。

──では、その液体の中にバクテリアが含まれているのでしょうか。

河井さん バクテリアそのものではなく、バクテリアの餌が入っているような感じですね。元々水槽にいるバクテリアを活性化させるアイテム、ということです。

──畑などの土づくりと同様に、水もバクテリアが重要なんですね。水換えを減らすことで、手間が減り、節水にもなりそうです。ほかにもメリットがあれば教えてください。

河井さん 適度にサボることで、お魚と上手く付き合っていけるかなと思います。お魚が好きで水換えが苦じゃない人も多いですが、やっぱり疲れた時や気分が乗らない時もあると思いますから。

“植物のエキスを含んだ”アマゾンの水質を再現

ブラックウォーター

──続いて、水質調整剤の「ブラックウォーター」について教えてください。
どのような仕組みで、「熱帯魚の故郷であるアマゾンの水質を再現」しているのでしょうか。

河井さん アマゾンは熱帯雨林で、落ち葉が堆積した場所に大量の雨が降ります。
その際に、植物のエキスが少しずつ水に溶け出し、まるで紅茶のように色がつきます。その水が、一部のお魚にとって非常に良いんです。

このブラックウォーターは、そんな自然環境の水を再現するために、植物由来のフミン酸などを配合しました。フミン酸の働きで水が黒くなります。

──ちなみに水はどのぐらいの黒さになるんですか?

河井さん 真っ黒ではなく、麦茶より全然薄い色です。お魚が落ち着く色とも言われています。

──では、お魚が泳いでる姿も問題なく見られるんですね。

河井さん はい、鑑賞できます。

──このブラックウォーターは、例えばどのようなお魚の飼育におすすめですか?

河井さん  熱帯魚の多くはアマゾンが故郷なので、熱帯魚はもちろんのこと、メダカにもおすすめです。
メダカの愛好家さんには、水に柿の葉を入れる人がいます。ブラックウォーターを入れることでそれと似た成分が溶け込み、メダカに良い水ができるんですね。

“お魚にも人間にも優しい”が使命

出典:テトラ公式サイト

──ブラックウォーターの商品ページにあった「Tetraの生き物ファーストの信念を体現する商品」という言葉も印象的でした。この「生き物ファーストの信念」について、詳しく教えてください。

河井さん お魚にとって快適であることをまず目指しています。
先ほどの水リサイクルシリーズも、人間がサボりたいだけじゃないかと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。お魚が健康で、人間にとっても利便性がある状態を目指しています。

足し水するだけでメダカの水換えが簡単

──ちなみに、アクアリウム初心者の方におすすめのお魚はありますか?

河井さん 入門種としては、メダカがおすすめです。
今はメダカがブームとも言われています。家の中にスペースがなくても、ベランダや庭で飼えますし、特別な器具も必要ありません。

最近は道の駅やホームセンターでもキレイなメダカを売っていて、手に入りやすいのもポイントです。

──では、おすすめのメダカの飼育グッズはありますか?

河井さん テトラもメダカの飼育グッズに力を入れていて、特に「じょうろでキレイメダカ鉢」がおすすめです。

特殊な構造をした鉢で、上から足し水するだけで下の汚れを押し出してくれるんです。お子さんでも簡単に水換えができます。

テトラ じょうろでキレイメダカ鉢 40×40 黒(出典:テトラ公式サイト)

── すごく画期的で、面白いアイテムですね。

河井さん メダカを増やしたり大きくしたりするには、水換えがとても大切なんです。鉢の下の方にフンなどがたまっていくのですが、これが水を悪くしてしまう原因になります。
実際にメダカの業者さんも、すごく頻繁に水換えをしているんですよ。

メダカは増えやすく「3人に1人はもらった経験がある」とも言われる魚です。人からもらって、毎年たくさんの方がメダカの飼育を始めています。
でも、やっぱりすぐ死なせてしまうことも多いですよね。だからこそ、水換えが楽しくなるアイテムを使っていただきたいです。

水槽の中に“自分の好きな世界”を作れる

出典:テトラ公式サイト

──ちなみに、河井さんもご自宅でアクアリウムを楽しんでいますか?

河井さん はい。メダカや亀、熱帯魚をたくさん飼っています。自宅に水槽専用の部屋があり、容器を30個以上置いています。テトラの商品も使いながら育てていますよ。

──水槽専用ルーム、すごいですね! では最後に、そんな河井さんが思う「アクアリウムの楽しさ」とは何でしょうか。

河井さん 手軽に生き物の癒しをもらえるところが魅力です。アクアリウムの典型的なスタイルはもちろんありますが、それにとらわれず自由に楽しんでいただけたらと思っています。
いろんなお魚を一緒に泳がせたり、グリーンと組み合わせたりして、自分の好きな世界を作ってみてください。

スペクトラム ブランズ ジャパン 株式会社

〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸2-6-26HI横浜ビル
TEL:045-322-4330(平日10:00~17:00)

テトラ

ドイツ生まれのアクアリウムブランド。確かな研究に基づいて“人にも生き物にも快適なアクアリウム”を追求しています。

この記事の執筆者
依田 知弓

アート系出版社の編集者を経て、ECサイトのライターに。
アーティスト、ブランド担当者など、ものづくりに携わる方の想いをインタビューで届けます。
お問い合わせはnote内のメールアドレスまで。

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