湧き出る湯量は1日約2000トン!明治維新の志士が集った歴史が残る湯田温泉

山口県の県庁所在地である山口市の中心部に位置し、交通アクセスに便利な立地の湯田温泉。街中にある温泉地なので、観光客だけではなく、ビジネス客も多数訪れる温泉地になっています。

湧き出る湯量は1日なんと約2000トン!毎分およそ1477リットルものお湯が7つの泉源から採水されています。

豊富な湯量を誇る温泉地の歴史と現在、そしてこれからの未来について、湯田温泉旅館協同組合の瀧下さんにお話を伺いました。

湯田温泉旅館協同組合

担当者 瀧下 尚子さん

白狐が見つけた!?800年以上の歴史ある温泉地

──湯田温泉旅館協同組合とは、どういった組合ですか?

瀧下尚子さん(以下、瀧下さん) 当協会は、湯田温泉街で営業している宿泊施設の共同福祉・相互扶助という名目で昭和33年の5月に設立されました。

事務局では源泉の管理や温泉街の整備、旅館・ホテルの経営のお悩み事について相談を受けるなど、湯田温泉街を盛り上げるための企画・運営を担っています。

湯田温泉街で営業されている旅館・ホテルはほとんど当組合にご加入いただき、湯田温泉街を盛り上げるため運営しています。

──湯田温泉の歴史を教えてください。

瀧下さん 湯田温泉の歴史には所説あり、その中でも有名な話には「白狐伝説」があります。

昔々、ある村に一軒のお寺がありました。

お寺の小さな池には、毎夜一匹の白狐が足をつけにやって来ていました。見れば白狐は足にケガをしています。不思議に思った和尚さんが池の水をすくってみると、ほんのり温かい。

そこで、さらに深く掘ってみたところ大量のお湯が湧き出てきたのです!

白狐伝説

この伝説は1500年代頃のお話ですが、史実としては1200年(正治2年)の国衙文書にすでに「湯田」の地名があります。その頃か、もしくはそれよりももっと古い時代から温泉が出ていたとも言われています。

白狐の言い伝えを元に、湯田温泉駅には大きな白狐像をシンボルに掲げています。当協会でも白狐をモデルにした「ゆう太くん・ゆう子ちゃん」のキャラクターで温泉を盛り上げています。

どの宿泊施設でも泉質の良い温泉に入ることができるのが自慢

──湯田温泉の特徴を教えてください。

瀧下さん 湯田温泉の自慢はなんといっても、泉質の良いフレッシュな温泉が毎日潤沢に湧き出ていることです!

泉源は全部で7つあるのですが、総量は1日約2000トンにも及びます。その豊富な天然温泉を一度タンクに集結させて、各宿泊施設に供給させています。

地元に根付いた老舗の旅館だけではなく、全国チェーンで展開されているようなビジネスホテルでも温泉に入れるのは湯田温泉街の魅力のひとつです。

湯田温泉はアルカリ性単純泉といって、肌になじみやすい泉質になっています。平均的にPH9.14のアルカリ性を示し、肌なじみが良くてお湯から上がるとお肌がツルツルとした質感になるのが特徴です。

メタケイ酸という保湿効果の高い成分も高い成分も含まれており、その効果なのか、足湯に通う地元の方は足の裏がとてもきれいなんです。

ぜひ多くの女性の皆様に入浴していただきたい温泉ですね。

歴史と情緒感じる老舗旅館が立ち並ぶ温泉街

──どんな旅館がありますか?

瀧下さん 温泉街には老舗旅館が複数立ち並び、長い歴史と情緒を感じさせられます。

ご紹介したいところはたくさんありますが、少しだけご紹介させていただきますね。

山口県はご存知の通り、明治維新において重要な役割を果たしています。

薩長同盟の際に坂本龍馬が宿泊した旅館が現存しています。薩長同盟の具体的協議のため西郷隆盛・大久保利通、木戸孝允・伊東博文らも密談をしています。幕末の歴史ファンにはたまらない聖地にもなっています。

建築物としての価値が高く、国の登録有形文化財に指定されている旅館があります。増築部分は、京都の数寄屋師・笛吹嘉一郎の意匠で、随所に数寄の技と遊び心が見られる仕上がりになっています。

庭園も高い評価が得られており、建物と合わせて日本の風情ある景観を楽しむことができます。

※数寄屋師…規模が小さい茶室などを手がける大工のこと。

また、名物女将の居る旅館もあります。女将自ら手がける「女将劇場」はお客様を楽しませたいという思いのもと、毎夜ステージを開催されていらっしゃいます。

全国放送のテレビなどで何度も取材をされているので知名度も有り、この「女将劇場」自体を観光の目的として来るお客様もいる旅館です。日本舞踊から水芸まで、多様なエンタメを展開させています。

湯田温泉のおすすめポイントは?

──温泉街の中にはどんな観光スポットがありますか?

瀧下さん 温泉街の中には6カ所も無料足湯スポットが設置してあります。旅館に宿泊しなくとも、気軽に温泉に浸かれます。血液は10分で身体を1周しますので、足湯だけでも10分ほどつかれば全身が温まります。

「手湯」も2カ所設置してありますので、靴下を脱がずに温泉に触れていただくこともできますよ。

泉源のひとつを整備しビジュアル化した「湯乃舎(ゆのや)」があります。ここは湯田温泉を目で見て楽しめる場所です。毎分270リットルも湧き起こる温泉を観覧でき、手湯や飲泉で温泉を体感していただけます。

無料の足湯スポットとは別に「狐の足あと」というスポットがあります。ここでは、足湯に浸かりながらスイーツを楽しむことができます。

湯田に縁のある詩人中原中也のカフェラテや地酒など、山口ならではのメニューもおすすめです。

また、湯田温泉街のポストは白狐に化けています。訪れた際はぜひ探してみてくださいね。

──おすすめのお土産には何がありますか?

瀧下さん  湯田温泉の美肌成分をあますことなく使った「ゆだうるる」の保湿ケアシリーズがおすすめです!

お土産に持ち帰る温泉水ならこちらのミストは清潔が保てます。持ち帰りやすく、持ち運びもしやすいので、次回の旅行に持っていく保湿ケアとしても便利です。

防腐剤・化学成分を一切使用していない湯田温泉の温泉水100%を詰めこんだ「ゆだうるる」の化粧水ミスト。シュッとひと吹きすれば、温泉水の天然保湿成分がお肌を潤してくれます。

このミストに伴って、保湿パックやハンドクリーム、リップクリームも作成しました。先にミストで温泉水を浴びてから、湯田温泉の保湿成分を使用した保湿クリームでケアしていただきたいですね。

※乾燥対策には個人差があります。ミストを使用しても乾燥が気になるような時は、上から保湿クリームでしっかりミストを閉じ込めて下さい。

若い世代にも気軽に温泉に触れられるように

──湯田温泉は今後どのように発展していきますか?

瀧下さん 近隣に大学がありますが、温泉に通うような人はまだまだ少ないように感じます。今後は若い世代にも温泉の良さを知ってもらって、湯田温泉に来ていただきたいですね。

まず若い人が来てくださったら、次は家族で来ようか、兄弟の家族も含めて集まろうか、と一緒に来られると思います。今も、お正月なんかはそういった方たちがいらっしゃっていますが、今後はもっと増えていって欲しいですね。

宿泊しに来てもらうのが一番良いと願っていますが、やはりまずは温泉に触れてもらいたいです。日帰りでも湯田を訪れて温泉のお湯に触れてもらいたい。そこで皆さんに良かったなと感じてもらいたいという思いがあります。

得られるものの準備は十分しているので、いいものを提供できているはずです。まずは温泉に触れて、ちょっと体調が良くなったり、リフレッシュできたりと、温泉に親しんでいただければなと思います。

2025年に、「湯田温泉パーク(仮称)」という新しい施設がオープンする予定です。「湯田温泉の恵みと大屋根で広がる豊かな暮らしの拠点」をコンセプトに、イベントにも対応する大屋根広場やテラス、飲食エリアや、別棟で入浴できる施設になります。

観光客だけではなく、近隣に住む地元の方々の拠点になる予定です。気軽に立ち寄っていただき、より、温泉に親しんでいただけるようになるのが楽しみです。

湯田温泉旅館協同組合
〒753-0056 山口県山口市湯田温泉6-6-53
TEL:083-920-3000 
FAX:083-920-3003

この記事の執筆者

渡辺 涼子
フリーライター。営業経験を活かし、インタビューのできるセールスライターとして活躍中。

新着記事