城下町・島原。豊かな湧水と観光スポットについて

長崎県南東部に位置する島原市。武家屋敷や島原城で有名な城下町には、70カ所を超える湧水スポットがあり、その湧水量は1日20万トンと言われています。

今回、島原の魅力を探るべく、島原観光ビューローにインタビューを行いました。

島原には、今でも武家屋敷が3棟あり、風情ある町並みが残っています。湧水庭園や古民家カフェ、島原城など数々の観光スポットがあり、四季折々のイベントも絶えない魅力的な観光地です。

また、江戸時代から「能・狂言」も引き継がれ、伝統と歴史も感じられます。

今回は、島原観光ビューローの下田香奈(しもだ かな)さんにインタビューしました。

島原観光ビューロー

下田香奈さん

城下町・島原の魅力

──島原の魅力について教えてください。

下田香奈さん(以下、下田さん) 島原城や周辺の武家屋敷といった城下町が今でも残っている美しい街です。能・狂言が伝承され、歴史と文化も感じられます。四季折々のイベントや行事も豊富。夏は暑いですが、水を取り入れたお屋敷が並ぶ「鯉の泳ぐまち」では湧き出した水を水路に流し込んでいるので、涼しく過ごせます。一年中観光が楽しめる場所ですよ。

湧水を利用して作られた「かんざらし」や郷土料理「具雑煮」などもあり、訪れた方々には島原の美味しい湧水で作られたグルメも楽しんでいただければと思います。

市内には70カ所を超える湧水スポットがあって、市民の生活用水として今でも使われています。島原に住む人々は、豊富な水へ感謝する気持ちを持っています。そのため、各地で水神様が祀られています。

──島原へのアクセスについて教えてください。

下田さん 熊本からフェリーで30分〜60分乗っていただいた後は、市内観光地まで車で10分ほどで到着できます。

長崎市内からですと、JR諫早駅から島原鉄道に乗り換えて、トータル1時間半ぐらいです。

車の場合ですと、諫早インターから1時間ほどです。

豊富な湧水。おすすめの湧水スポット

──島原には湧水がたくさんあるそうですね。おすすめの湧水スポットはありますでしょうか?

下田さん 私がおすすめする場所は「浜の川湧水」です。

「浜の川湧水」では、洗い場が4つに区画されていて、お米をといだり、食器を洗ったり、洗濯したりと、生活用水として利用されています。

先ほども申した通り、島原市内には、70カ所を超える湧水ポイントがあり、1日20万トンの湧水が流れ出ています。

島原市民は、ポリタンクに湧水を汲んで帰り、飲料水として利用しています。

湧水は、商店街などアーケード内にもありますよ。

観光に訪れた方もぜひ、ペットボトルに汲んで持ち帰っていただき、島原の美味しいお水を堪能していただけたらと思います。

──どんな味がするのでしょうか?

下田さん ミネラルが豊富で、まろやかで、とても美味しい天然水です。湧水スポットごとに、味も少しずつ違うので、湧水巡りをしていただくのも良いかと思います。「清流亭」や「しまばら湧水館」など湧水スポットはたくさんあります。

「四明荘」で人面魚探し?!

──おすすめの観光スポットはありますか?

下田さん 「湧水庭園四明荘」です。

明治後期から大正初期ごろ、地元の開業医が別邸として建て、四方の眺望に優れていることから「四明荘」と名付けられました。

庭園には、色とりどりの鯉が泳ぐ池があり、四明荘の縁側から池を覗くことができます。池は、一日に約3,000トンもの清水が流れ、美しい鯉が泳いでいます。

「鯉の泳ぐまち」の一角にある人気の観光スポットです。四明荘を訪れたらぜひ、優雅に泳いでいる人面魚を見つけて欲しいですね。

──他にもおすすめの場所があったら、教えてください。

下田さん 水を取り入れたお屋敷が並ぶ「鯉の泳ぐまち」があります。そこにある古民家を改造したカフェ「Koiカフェ ゆうすい館」がおすすめです。コーヒーやパフェ、ケーキなどがありますが、ぜひ島原名物の「かんざらし」を召し上がっていただきたいです。「かんざらし」は、白玉粉で作ったお団子を湧水で冷やし、特性の蜜をかけたスイーツです。まろやかでとても美味しいですよ。

他のおすすめスポットは、平成27年に建てられた「清流亭」です。島原名産のお土産を揃えています。お土産用に「かんざらし」のパックも売っています。また、観光交流センターとして、島原名産品や観光情報の提供も行っています。

島原城で、ハイカラさん。袴レンタルで、島原城下町を散策

──島原といえば、島原城が有名ですね。

下田さん 島原城は、九州のキリシタン対策のため築かれた巨大な城です。

南北に連なる連郭式平城で、外郭は周囲約4kmの長方形で塀をめぐらし、城門が7か所、平櫓が33か所ありました。 内郭は堀にかこまれた本丸・二の丸を設け、その北に藩主の居館である三の丸が続きます。 本丸には五層の天守閣をはじめ、3か所に三重櫓がそびえ立つ豪壮堅固な城構えが特徴です。

島原城は、大和国(現在の奈良県)の武将、松倉重政が徳川幕府から九州のキリシタン対策を命じられ、1618年から約7年の歳月をかけて築造されました。 5層の大天守閣を中心に、3つの三階櫓、33の平櫓を配置し、城門が7カ所ある広大な城だったといいます。

1874年の廃城令により、廃城処分を受け、一時はここの土地も民間の手に渡りましたが、1964年に天守が復元され、今ではキリシタン資料や藩政時代の資料を展示する資料館となっています。

──島原城敷地内に、袴レンタルがあるとお聞きしました。

下田さん はい。島原城にある民具資料館「丑寅の櫓」で袴レンタルを行っています。2尺袖着物・袴・巾着・髪飾り・傘・下駄の袴セットを2,000円(税込)でお貸ししております。

男性・女性・お子様と老若男女の方が楽しんでいただけるよう、幅広く取り揃えております。レンタル時間は、90分ですので、ぜひ気に入った袴を着ていただき、島原城を散策していただきたいです。

予約制ですので、ご利用の一週間前までにご予約をお願いいたします。

──島原城では、天草四郎のMR体験もされているそうですね。

下田さん 天草四郎は江戸時代初期のキリシタンで、島原の乱でも有名です。島原城では、天草四郎を描いたMR「Son Of God 天草四郎 ~島原城に舞い降りた奇跡~」で歴史体験コンテンツを開催しています。

ホログラムの天草四郎が降臨し、キリスト伝来から島原の乱といった歴史をドラマ的にガイドします。天草四郎役の声優さんには、「新世紀エヴァンゲリオン」渚カヲル役でおなじみの石田彰さんが担当しており、アニメ好きな方や、歴史が好きな人など幅広く楽しめるコンテンツとなっています。

Microsoft Hololens2を使用したことで、リッチなMRホログラム体験と、ハンドトラッキングを活用した「触る」歴史を実現しました。普段さわることのできない踏み絵などの展示物を、ホログラム化して手に取ることができたり、様々な角度で自由に見たり、大きくして細部を鑑賞したりすることができます。

最大4人まで、同時に体験が可能ですよ。ぜひ、ご体験ください。

※中学生未満は体験不可

四季折々のイベント

──島原は、四季折々のイベントもたくさんありますね。

下田さん 春には、「しまばら浪漫ひなめぐりん」が開催され、七段飾りや遊びびな、押し絵雛など数多くのおひな様を展示しています。この時期に合わせて、島原城「梅まつり」を開催し、島原城を背景に美しい白梅や紅梅を鑑賞することができます。

しまばら火張山(ひばるやま)花公園でも、菜の花、桜、ポピーが満開の「春の花まつり」が行われています。

夏には、「島原水まつり」「精霊流し」、島原の復興を祈願した「島原温泉ガマダス花火大会」といった伝統行事があります。

秋は、しまばら火張山花公園で、1千万本のコスモスや6万本のひまわりで来園者を魅了する「秋桜まつり」が開催されますが、なんといっても「島原城薪能」でしょう。10月中旬ごろに島原城で行われる能舞台です。

島原には「能・狂言」の歴史と文化が伝承されており、島原藩の記録、松平文庫には、多くの能・狂言の教本が伝えられています。

歴史と伝統のある古典芸能の継承を絶やさないため、昭和58年に「島原城薪能」を開催してから、今では毎年行われ、全国から多くのファンが訪れています。

冬は、島原の冬の風物詩である「島原ウインターナイトファンタジア」があります。

普賢岳噴火災害からの復興を願い、中央公園、アーケード商店街一帯が、イルミネーションで彩られます。イルミネーションは、ロマンティックゾーン、キャラクターゾーンなど、テーマごとに分かれているため、それぞれのイルミネーションを楽しんでいただけたらと思います。

島原観光ビューローの取り組み

──島原観光ビューローでは、どのような活動を行っているのでしょうか?

下田さん 「島原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」のひとつの取り組みとして、観光プロモーション、観光施設の運営、物販などを一元的に担っています。市内の観光施設を有効活用し、島原のブランドを一段階上に押し上げ、観光を推進する体制を一層強化していくことを目指しています。

私は、島原の玄関口として、日々島原へお越しのお客さまへ、島原港観光案内所にて観光案内を行っています。

島原を訪れる方々にはぜひ、城下町島原の歴史と文化を堪能していただき、豊かな水が与えてくれる清らかさと穏やかさとともに、素敵なひとときを過ごしていただきたいと思っております。

2024年は、島原城築城400年ですので、イベントなども順次開催されます。ぜひ楽しみにしていてください。

これから島原を訪れる人へ

島原観光ビューローの公式サイト、島原観光情報サイト『Enjoy! しまばら』では、イベント情報など詳しく紹介されています。これから島原を訪れる方はぜひご覧ください。

株式会社島原観光ビューロー

2016年9月13日に島原市の観光関係4団体「島原温泉観光協会」「島原城振興協会」「島原温泉旅館組合」「島原市観光土産品協会」を統合し設立。市内の観光施設を有効活用し、観光プロモーション、観光施設の運営、物販などを一元的に担っている。

〒855-0861 長崎県島原市下川尻町7-5 島原港ターミナルビル1F
TEL:0957-62-3986 
FAX:0957-63-5561

この記事の執筆者

荒川 あい子

ライター。地域情報サイト、医療系記事を中心に執筆中。最近の趣味は旅行、映画鑑賞、読書(主に映画評論、SF小説)

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