【和歌山県】大自然を体感できるアクティビティ観光の新たな魅力を発信

南北に長い和歌山県は、海・山・川に恵まれ、熊野地域などの世界遺産をはじめとする歴史的観光スポット、レジャー、温泉、グルメと魅力あふれる地域です。

大自然を体感できる海水浴やダイビングはもちろん、カヌー、ラフティングなどウォーターアクティビティが充実しています。

今回は、和歌山県観光振興課の室井優佑さんにアクティビティ観光の魅力について話をうかがいました。

和歌山県 観光振興課

担当者 室井優佑さん

海・山・川などの大自然に恵まれる和歌山県

海沿いでのキャンプ(提供:和歌山県)

──和歌山県の魅力についてご説明をお願いします。

室井さん 和歌山県は山と海に囲まれ、豊かな自然に恵まれた地域で観光資源が数多くあります。

具体的には紀伊山地(きいさんち)の自然を満喫できるトレッキングやハイキングコースがあります。山々が連なっており、熊野三山熊野古道那智の滝などの自然を満喫することができます。

熊野三山・・・熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社と那智山青岸渡寺を含む、三社一寺の総称。

熊野古道・・・熊野三山へと通じる参詣道の総称。熊野参詣道ともよばれる。

古座川(こざがわ)には一枚岩などの巨岩巨石が数多くあり、ハイキングには最適です。

古座川でカヌーなども堪能できます。オールをこいで進む新感覚のウォータースポーツである「SUP」など、水のアクティビティもエンジョイできます。

また、古座川の他にも県内にはキャンプ場も数多くあるので、ご自身でテントを張って楽しむこともできます。

最近では、キャンプ道具を用意しなくても快適な宿泊環境で大自然を楽しむ体験ができる、グランピング施設も人気を集めています。

施設ではベッドやお風呂などを備えており、バーベキューやアクティビティを満喫することができます。

海岸沿いではサーフィンやスキューバダイビングなどのマリンスポーツも楽しめます。

和歌山県には、自然豊かな土地ならではのアクティビティ、歴史を感じることができる世界遺産、県内各地に湧き出る良質な温泉など、心身ともにリフレッシュできる魅力的な場所がたくさんあります。

川の底まで見えるほど透明な古座川

水が美しい古座川ではカヌーが人気(提供:和歌山県)

──今のお話では山と川のフィールドには特に大きな魅力がありますね。

室井さん 古座川は、川の底まで見えるほど透明な水が流れています。

別名クリスタルリバーと呼ばれ、水温も適切で水流も穏やかです。水のアクティビティに適している場所です。

「古座川アドベンチャー倶楽部 (KAC)」は、カヌーやSUPの体験を通じて、古座川を安全に楽しく遊びながら自然を学べる体験を提供しています。

安定性が高く扱いやすいカヌーを用意し、現地ではガイドさんも安全対策を行っているので、川でのカヌー体験を親子連れで楽しむことができます。

国の天然記念物に指定されている「一枚岩」は、高さ約100m、幅約500mの一枚の巨岩が圧巻です。 

周りの風物を圧して川淵からそそり立つ姿は、ほかではなかなか見ることはできず、一枚の岩盤としては日本最大級の大きさといわれています。

都会の喧騒とは離れて、大自然に恵まれた場所で魅力的な場となっています。

一枚岩を目の前で眺められるテントサウナ

また、一枚岩の対岸にそびえる「嶽の森山」という名峰があり、頂上からの大パノラマの絶景に加え、道中にはナメトコ岩や豆腐岩などの奇岩も望むことができます。

ほかには天柱岩があり、古座川の間際から垂直にそびえ、まるで天まで届くほどの岩の柱は、雄大そのものです。

世界遺産に登録された紀伊山地の霊場と参詣道

熊野古道(出典: 和歌山県公式観光サイト わかやま観光 )

──熊野地域は、「紀伊山地の霊場と参詣道」として2004年7月にユネスコの世界遺産に登録されました。今は世界各地から観光客が訪問されていますね。

室井さん 熊野は昔から滝、山と川などの自然を信仰の対象として、崇める自然崇拝を起源とし、聖地と呼ばれてきました。

平安時代から鎌倉時代にかけて、皇族や貴族が都から熊野を目指す「熊野詣(くまのもうで)」が盛んに行われました。それが庶民にも伝わり、参詣する人でにぎわいをみせた地域です。

「熊野詣」は、黄泉(よみ)の国にいき、生まれ変わって現世へ戻る「蘇りの地」でもあったといわれています。

黄泉(よみ)の国・・・人の死後魂が行き,死者が生活するとされるところ。

そこは、人々の心を癒してくれる場所でもあったのです。その中でも、熊野三山や熊野古道は数少ない道の世界遺産として、世界から注目を集めています。

当時の人々は、過去の行いを「蘇りの地」で悔い改めて、心や体も入れ替えて、心をあらためて生きていく考えがあったようです。

熊野古道は歴史的価値が大きいことはもちろんですが、トレッキングにも最適な場所で、各ルートには魅力的なスポットがあるので、景観を楽しみながら歩くことができます。

パワースポットとしても有名で、運気を向上させ、ご利益を期待される方も増えていますね。

観光客の方向けにルートマップを作成していますので、そちらもご活用いただき、世界遺産登録から2024年で20周年となる熊野古道に、ぜひお越しください。

落ち着いた雰囲気を漂わせる熊野本宮大社

熊野本宮大社(出典: 和歌山県公式観光サイト わかやま観光)

──次に熊野エリアの説明も。まずは熊野本宮大社について。

室井さん 熊野本宮大社は田辺市本宮町にあり、主祭神は家津美御子大神(けつみみこのおおかみ=スサノオノミコト)です。

158段の石段を登ると、神門があり、それをくぐると桧皮葺の社殿があります。

かつて熊野本宮大社は、熊野川・音無川・岩田川の合流点にある「大斎原(おおゆのはら)」という中洲にありました。

当時、東京ドームの約7割の広さである約1万1000坪の境内に5棟12社の社殿、楼門、神楽殿や能舞台など、現在の数倍の規模だったそうです。

1889年8月の水害で、社殿の多くが流出しました。この水害を免れた4社を、現在の熊野本宮大社がある場所に移しました。

この大斎原は、現在の熊野本宮大社から500mほど離れています。熊野本宮大社から道路を隔てて、大鳥居(高さ約34m、幅約42m)が見えます。

かつて「熊野詣」が盛んだった平安時代では、熊野詣(中辺路ルート)をされる最初の目的地がこの熊野本宮大社で、それから熊野川を下り、熊野速玉大社から熊野那智大社に参詣する人が多かったといわれています。

朱塗りの社殿が特徴的な熊野速玉大社

熊野速玉大社(出典: 和歌山県公式観光サイトわかやま観光)

──次に熊野速玉大社は。

室井さん 雄大な熊野川の河口で、三重県との県境である新宮市に、熊野速玉大社があります。

主祭神は、熊野速玉大神(くまのはやたまおおかみ=イザナギノミコト)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ=イザナミノミコト)です。夫婦神を祀る朱塗りの鮮やかな社殿が特徴的です。

境内にそびえる御神木のナギの木とともに、今も人々を癒す聖地です。

熊野速玉大社の摂社・神倉神社からこの宮に遷座したことから「新宮」と呼ばれています。

遷座・・・御神体などを別の地域に移すことを指す。

日本一落差の大きい那智の滝

那智の滝(出典: 和歌山県公式観光サイト わかやま観光)

──最後に、熊野那智大社は。

室井さん 場所は、那智勝浦町にあり、主祭神は熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ=イザナミノミコ)で、熊野詣(中辺路ルート)の最終目的地として、那智山青岸渡寺と共に富み栄えました。

社殿は、熊野速玉大社と同様朱塗りで、近くには、別宮の飛瀧神社の御神体である那智の滝があり、こちらは日本一落差の大きい滝としても有名です。

白浜町は関西屈指のリゾート

白浜温泉・崎の湯 (提供:和歌山県)

──それでは熊野から離れて温泉地域を。

室井さん 和歌山県には数多くの温泉地が点在しており、その中の一つに白浜温泉があります。

白浜温泉は、道後温泉や有馬温泉と並ぶ日本三古湯に数えられ、海岸沿いに温泉地があり、露天では太平洋の雄大な景観を楽しめます。この温泉だけを目当てに白浜を訪れる観光客の方も大勢います。

近隣には、真っ白でサラサラの砂が特徴の「白良浜」があり、白浜町のシンボルのひとつです。砂まつりや花火大会など、多くのイベントを開催しています。

夏には関西有数の海水浴場として人気があり、姉妹浜のハワイのワイキキビーチを連想させるほどリゾート気分が味わえます。

老若男女問わず楽しむことができるアドベンチャーワールドには、4頭のジャイアントパンダファミリーが暮らしています。白浜へ観光に来たら是非訪れてみてください。

果物王国としても知られる和歌山県

白浜町の白良浜(出典: 和歌山県公式観光サイト わかやま観光)

──和歌山県といえば果物王国といわれています。

室井さん みかん、柿、梅など和歌山県では果物が多く収穫されています。

1月から5月にかけてはいちご、6月~8月上旬までは、6月は、9月下旬から2月にかけてはミカンたねなし柿は 9月下旬から11月にかけて、紀の川柿富有柿は、11月に収穫されます。

和歌山県の北部に「紀の川」が流れ、川沿いに果樹園が広がっており、この地域では1年中、さまざまな果物を栽培しています。代表的な果物は柿、桃、イチゴがあり、生産量も高いのです。

いちご狩り体験(提供:和歌山県提供)

果物狩りを楽しめる果樹園も多く、観光にも人気があり、近隣の道の駅で新鮮な果物が食べられます。

地元の地方自治体や観光協会も積極的にPRしており、フルーツ狩りを体験されたいというご希望があれば、問い合わせされるのがいいですね。

紀の川でパラグライダー体験

四季折々でパラグライダー体験を楽しめる(提供:和歌山県提供)

──パラグライダー体験について。

室井さん 先ほど申し上げた、紀の川でパラグライダー体験ができます。ここは土地柄で高い建物などの障害物が少なく、パラグライダーに適した場所と言えます。

春は桜や桃の花を空から楽しめますし、夏は新緑が美しく、秋は紅葉が広がりますし、冬は冷たい風を感じながら、ここは四季折々の景色を楽しめ、人気のある場所です。

専門のスタッフさんがおり、安全・安心で初心者の方も空のアクティビティを楽しめます。

ポータルサイト開設で関心を高める

──これからの和歌山の観光については。

室井さん コロナ禍では、密を避けた行動が推奨されていたこともあり、アウトドア観光が注目を集めてきました。

和歌山県では、本県の豊かな自然を活かしたアクティビティやキャンプなどアウトドアコンテンツの魅力発信のために、「わかやま“ほんまもん”遊び」、「わかやま“ほんまもん”キャンプ」を開設しました。

サイト内ではアクティビティや県内キャンプ場などを紹介しており、興味を持たれた方は体験メニューやキャンプ場の予約が可能です。

海・山・川など自然豊かな和歌山県にぜひお越しいただき、心身ともにリフレッシュしてください。

公益社団法人和歌山県観光連盟

〒640-8585
和歌山県和歌山市小松原通1-1 和歌山県庁観光振興課内
TEL:073-422-4631
FAX:073-432-8313

この記事の執筆者

長井 雄一朗

建設業界30年間勤務後、セミリタイアで退職し、個人事業主として独立。 フリーライターとして建設・経済・働き方改革などについて執筆し、 現在インタビューライターで活動中。

新着記事