海の透明度は日本一?!花と洞窟の島、沖永良部島。

沖縄県と鹿児島県の間に浮かぶ島、沖永良部島。

沖永良部島は、日本一のガジュマルや鍾乳洞など自然の見所があることで知られています。そんな沖永良部島の見所や観光スポットについて、今回は一般社団法人おきのえらぶ島観光協会の森岡峻一さんに伺いました。

一般社団法人おきのえらぶ島観光協会

担当者 森岡峻一さん

観光協会の事務局員として、島のガイド業を務めるほか観光案内や売店の定員など、島にまつわる幅広い業務を担当。島コーディネーターとしても活動している。

隆起サンゴ礁でできた「鍾乳洞」の島

──まずは、沖永良部島の成り立ちや特徴を教えてください。

森岡峻一さん(以下、森岡さん) 沖永良部島は、沖縄県と鹿児島県の間に浮かぶ外周55kmの小さな島です。

沖永良部島は隆起サンゴ礁でできており、地下に200〜300もの大鍾乳洞群が眠っています。沖永良部島の鍾乳洞は石灰岩でできているため、鍾乳洞の発達が早いことが特徴。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

通常の鍾乳洞は100年に1センチ伸びると言われていますが、沖永良部島の鍾乳洞は30年に1センチのスピードで伸びていきます。

なお、大山水鏡洞は日本で3番目の大きさを誇り、多くの観光客が毎年訪れます。なかでも「ケイビング」という洞窟探検が人気ですよ。

──ケイビングではどんな体験ができるのですか?

森岡さん ガイドと一緒に、洞窟の中を探検するツアーです。沖永良部島の鍾乳洞は侵食によってできているため水が豊富。

そのため、リムストーンがライトアップされ、幻想的な景色を楽しめます。「映え写真」が撮れるということで若い方にも人気です。

ケイビングできる鍾乳洞は数多くあり、上級者向けのものから初心者向けのものまで用意されています。

ほふく前進で鍾乳洞を進んでいくなど、かなりハードなものも(笑)。なかは真っ暗なので、ウエットスーツを着用しヘッドライトをつけていただきます。

洞窟内は年中20度程度のため、夏も涼しいのでおすすめですよ。

沖永良部島発祥のエラブユリや、ガジュマルなど自然も豊か

──沖永良部島は「花の島」としても有名なんですよね。

森岡さん 沖永良部島では、明治時代から花の栽培をされてきました。

現在沖永良部島には、エラブユリ、菊、グラジオラス、ソリダゴを始め、800種類ほどの植物が生息しています。

なかでも沖永良部島の代名詞であるエラブユリは、明治32年にイギリスの貿易商人、アイザック・バンティング氏によって発見されました。

もともと自然に咲いていた花でしたが、島の農民が大切に育て海外に輸出されるほどの有名な花となったのです。

──「日本一のガジュマル」についても教えてください。

森岡さん 島内にあるガジュマルは、国頭小学校の敷地内にあります。もともと小学校の卒業生によって植えられ、樹齢は120年ほど。

このガジュマルは横に大きく広がっており、日立のCM候補にもなったことがあるんです。今でも小学校の保護者の方によって大切に育てられています。

ちなみに「日本一のガジュマル」と言われていますが大きさが一番というわけではありません。

「日本一綺麗」「日本一愛されている」という意味を込めてそう名付けられました。

国頭小学校は正門などもありません。学校の先生に声をかけたら入れるので、ぜひ足を運んでいただきたいです。木の下は涼しくてとっても気持ち良いですよ。

日本一透明?海水が綺麗な理由は、伝統的な工夫にあった

──海の水はとても綺麗ですが、水質改善のために行われている取り組みなどはありますか?

森岡さん 沖永良部島には川がほとんどありません。雨が降っても侵食して地下に流れてしまうため、汚物が海に流れることはほとんどないんです。

また、流れる際にも沈砂池で一度土を沈める工程を挟むようにしています。そのため、海の透明度は非常に高く、とても綺麗なんです。

ダイバーの方からは「今までで一番透明だった」と言われたこともあるんですよ。

また、島内ではビーチクリーン活動も盛んに行われています。

きっかけは、ある小学生が夏休みの自由研究でごみの調査をしたこと。ごみに書かれたバーコードを読み取ると、多くは東南アジアからのものでした。
この活動がメディアで取り上げられ、ビーチクリーンの団体が増えたんです。

当時小学4年生だったその女の子はもう今年で中学3年生ですが、いまだに毎日ごみ拾いをされているんですよ。

──酒造会社も多いようですが、お酒の特徴などはありますか?

森岡さん 奄美群島でしか作られていない黒糖焼酎を製造している酒造が3つあります。

というのも日本では、糖分を含む物質から焼酎を作ることが法律によって禁止されています。その法律ができた頃、アメリカの統治下にあった奄美群島だけはそれらが特別に許可されているんです。

黒糖焼酎は、芋や米よりも口当たりまろやかで、すっきりした味が特徴。そのため、飲みやすいというお声をよくいただいています。

──初めて訪れる方向けに、おすすめの観光ルートを教えてください!

森岡さん 水にまつわる観光スポットとしておすすめなのが、暗川(クラゴー)

暗川とは、生活水を得るための鍾乳で、昔はそこに女性たちが生活用水を汲みに行っていました。そのため、暗川は井戸端会議ならぬ「暗川会議」と言われる女性のたまり場に。

女性との出会いを求める男性たちも集まるナンパスポットでもあったそうです。

洞窟内でケイビングを楽しみながら、当時の生活も知れる非常に面白いスポットなのでぜひ行ってみてください!

先述の通り沖永良部島はコンパクトなので、2泊か3泊ほどでも十分景勝地を回れます。でも、私は移住して6年経ちますが、まだまだ飽きることはありません。

ぜひ、ゆっくりと島内を楽しんでいただきたいですね。

普段の生活に気づきを与えられる観光地を目指して

──最後に、今後の展望などございましたら教えてください。

森岡さん 沖永良部島は昔から環境問題への感度が非常に高く、現在では脱炭素先行地域にも選出されています。
そのため、観光客の方には観光だけではなく環境問題についての学びも深めていただければと考えています。

よく私はガイドする中で「モヤっとして帰ってください」と話します。
ただ「楽しかった」「面白かった」だけではなく、民謡や農業、暮らしなど何か一つでも都会に持って帰っていただきたいんですよね。

そんな、普段の生活に気づきを与えられる存在になっていけたら嬉しいです。

一般社団法人おきのえらぶ島観光協会

〒891-9202 鹿児島県大島郡知名町屋者1029-3
TEL:0997-84-3540

この記事の執筆者

佐原 有紀

大手人材会社退職後、2018年よりフリーライターとして活動。取材経験を活かし、ウェブメディアでの執筆や求人広告の作成などを行っている。

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