【茨城県・つくば市】名峰筑波山と研究学園都市で自然と科学の両方を楽しもう

茨城県・つくば市は、自然と科学が調和するまちです。筑波山という関東平野を一望できる古くから信仰の深い名峰や、筑波大学、JAXAの筑波宇宙センターなどが揃う「研究学園都市」としても有名です。

また近年、つくばエクスプレス(TX)によりITの街「秋葉原」から研究学園都市「つくば」まで最速45分という好アクセスに恵まれていることから、つくば市への転入者も増えています。

今回は、大自然でのリフレッシュとしての場、研究学園都市で最先端の科学を学べる場として、一般社団法人つくば観光コンベンション協会事務局長の貝塚厚さんにつくば市の魅力をうかがいました。

一般社団法人 つくば観光コンベンション協会

貝塚 厚さん

事務局長

古代から、筑波山は富士山と並ぶ名峰

筑波山の頂上からは、関東平野を一望できる感動の光景が広がる

──最初につくば市の観光の魅力から教えてください。

貝塚 厚さん(以下、貝塚さん) つくば市は、「自然と科学」の2つに親しめるまちとPRして参りました。

まずは、つくば市の自然からお話します。つくば市の北部に位置する筑波山は、古くから「西の富士、東の筑波」と並び称された名峰です。

文筆家・登山家だった深田久弥が記した『日本百名山』に選ばれています。

筑波山は花の種類がとても豊富です。春のカタクリから始まり、山桜、ツツジなど。大きな見どころは中腹に1000本にわたる梅林があります。

水戸市の「偕楽園」の「梅まつり」が有名ですが、つくば市も2~3月にかけて開催し、期間中は多くの観光客がいらっしゃいます。

筑波山は頂上標高が877m。ケーブルカーやロープウェイがあり、比較的手軽に頂上まで登れる山です。

頂上からは関東平野が一望でき、見晴らしも良いことから、特に5月の大型連休や秋の紅葉シーズンには多くの観光客の皆さんに来て頂いています。

筑波山南面中腹には「筑波山神社」、近隣には「筑波山大御堂」(おおみどう)があります。

筑波山神社手前には、実際に生えている木の上に作られたロープやスライダーなどのアトラクションを楽しめ、木々の間を渡る「フォレストアドベンチャー・つくば」も有名です。

筑波山神社本殿

※日本百名山・・・小説家の深田久弥が多くの山を踏破した本人の経験から、「品格・歴史・個性」を兼ね備え、原則として標高1500m以上の山という基準を設け、選定した。なお、深田は、標高1500m以内の筑波山を百名山に入れた理由を自身の著作で明記している。

※水戸の偕楽園・・・茨城県水戸市にある日本庭園。国の史跡及び名勝に指定されている。伝統的に、後楽園や兼六園と並んで日本三名園の一つで梅林が有名。

※筑波山神社・・・筑波山を神体山として祀る神社。筑波山は『常陸国風土記』に見える頃より神の山として信仰が深く、関東平野に人が住み始めた時代からの信仰ともいわれている。

「筑波研究学園都市」では筑波宇宙センターが人気

──筑波山を始めとし、自然に恵まれた地域であることが分かりました。次に科学の魅力はいかがでしょうか。

貝塚さん もう一つの科学の魅力として、国家プロジェクトで整備された「筑波研究学園都市」があります。

主な施設は筑波大学宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センター産業技術総合研究所国土地理院など…。

国の研究機関はおよそ29ありますが、民間研究施設を加えると約150あります。

国内は言うまでもなく、国際的にもこれだけ研究機関が集まっている都市は珍しい。研究者も約2万人と言われており、その多くの方は博士号を取得されているそうです。

研究機関の一部は常設で見学できる展示施設もありますし、年に一度程度はイベントなども行われる大々的な一般開放も行われています。中でも筑波宇宙センターが人気のようです。

なお常設展示の施設のうち、6つの研究機関を巡るサイエンスバスツアーもあります。本格的な最先端の科学に親しめる点が大きな魅力です。     

後に詳しく解説しますが、「ミズテル」さんは水にフォーカスされた媒体ですから、酒蔵やワインのワイナリー、地ビールの工房、天然温泉など水とともに楽しめる内容も紹介いたします。

女性の蔵元兼杜氏が経営する酒蔵

筑波山山麓にある「稲葉酒造」

──それではお言葉に甘えまして、つくば市の酒蔵のご紹介をお願いします。

貝塚さん つくば市には、浦里酒造店稲葉酒造の2つの酒蔵があります。

つくば市の西側にある浦里酒造店は、歴史があり、銘柄「霧筑波」が人気です。

稲葉酒造は筑波山山麓にあり、筑波山の伏流水を使い、酒造りをされています。

ここは蔵元と杜氏を女性の方が兼ねており、豊かで繊細なお酒造りに定評があります。有名な銘柄は、筑波山由来の「男女川(みなのがわ)」です。女性にも評判で海外への輸出にも力を入れています。

──次にワイナリーについての解説もお願いします。

貝塚さん 筑波山麓の土壌は花崗岩が風化したもので、フランスやイタリアの産地と同様に水はけがよくミネラルも豊富ということから、ブドウの栽培に向いていると言われています。

最初はブドウ栽培から始めましたが、最近ではワイナリーとしてワインの貯蔵施設も建設されてきました。ワインの銘柄として市内には4つあります。つくば市のワインの知名度も、徐々に上がってきました。

水つながりで紹介したいのがクラフトビール。

クラフトビールの屋外フェス「つくばクラフトビアフェスト」を年1回に開催するほどのビール人気があります。つくば市の地ビールとして「つくばブルワリー」「ツインピークス」が有名です。

※酒蔵・・・お酒を製造したり、貯蔵したりする蔵のことを指す。
※伏流水・・・水がしみ込みやすい土地を川が流れると、水が地中にもぐりこんで流れる。 この水のことを伏流水という。
※蔵元・・・日本酒業界で「蔵元」では、「酒蔵の経営者」のことを指す。
※杜氏・・・酒造りの最高責任者で、杜氏の下で働く蔵人(くらびと)を管理・監督する。
※男女川・・・筑波山を源流として桜川に注ぎ、つくば市内だけで完結する全長数kmの河川。稲葉酒造の銘柄はこの川の名前に由来する。

筑波山には天然温泉に恵まれた宿泊施設も

──宿泊施設はいかがでしょうか。

貝塚さん つくば市は天然温泉がある筑波山の観光宿泊施設と、出張や学会・国際会議の参加者などが多く利用する市内中心部のビジネスホテルがあります。

つくば市にいらした方には、観光・ビジネスそれぞれ目的に合わせてお泊りいただけます。

また筑波山の宿泊施設は、日帰り温泉にも対応していますので是非お楽しみ下さい。筑波山温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉です。

MICEの場としても実績を支えるつくば国際会議場

1200人を収容する大ホールがある「つくば国際会議場」

──このような自然と科学の街はMICEにふさわしい場でもあると思いました。

貝塚さん 1999年6月に茨城県が整備した「つくば国際会議場」は、約1200人が入れる大ホールのほか、中小ホールや会議室が設置されています。

多言語の翻訳ブースがあり、国際会議にも十分対応できる施設です。

オープン当時は、都内とのアクセスは高速バスが主流となっていました。

その後、2005年にTXが開業し、都内からは最速45分の好アクセス。成田空港国際空港からのアクセスも首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が開通し、成田からつくばまで1時間かからないほどの距離になったのです。

つくばは研究学園都市として大学や研究機関が集積していることから、学会のイベントや国際会議が開かれやすい環境です。

国も茨城県もサポートし、2016年にはG7の科学技術大臣会合、2020年にはG20の貿易デジタル経済大臣会合など、さまざまな国際会議がつくば市で開催されています。

つくばは海外でも研究学園都市としての知名度が高く、海外や首都圏からのアクセスも格段に良い立地です。
国際的な会議に対応できるつくば国際会議場の存在により、MICEの開催場としては最適と自負しています。

MICEについて他の都市も奮闘されていますので、つくば市としては実績を積み、優位性を訴えるための営業活動も展開中です。

※MICE・・・企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などが行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称。(出典:国土交通省観光庁

意外!?つくば市がラーメンとパンの街に

毎年人気の「つくばラーメンフェスタ」

──次につくば市でのグルメのご紹介もお願いします。

貝塚さん 実はつくば市はラーメンが有名。ラーメンランキングでも上位にランクインする名店が多いのです。

週末になると、関東近県や遠方からもラーメン好きが集まります。ラーメンの街へと成長した理由は学生が多いからともいわれています。

市内にラーメン専門店は約100店舗。2012年から茨城県最大のラーメンイベント「つくばラーメンフェスタ」が開催され、毎回10万人ほど集まります。

「パンの街」としての顔も持ち合わせており、人口比率から見てもパンの消費がとても多い。こちらの理由は、学生や研究者など在住外国人が多い、あるいは外国で研究した研究者が帰国してパンを好む習慣が強かったため、パン好きの方が集まったとの説があるんです。

東京のキー局の情報番組がつくば市を取材すると、パンの名店を必ず取材するほどです。他にもグルメといえば数えきれないほど種類はありますが、つくば市ではラーメンやパンの名店が集まっています。

ジオパークと自転車を観光の切り口として展開

廃校を利用し、「筑波山ゲートパーク」が11月にオープン

──最近は観光施設ではどのよう場所が注目されていますか。

貝塚さん 2023年11月3日に廃校になった中学校跡地を利用して、「ジオパーク」と「自転車」の2つの切り口から、地域の魅力を発見する入口「筑波山ゲートパーク」がオープンしました。

「ジオパーク」とは、地質・地形から地球の過去を知り、未来を考えて、活動する場所で、最近では観光と結び付けています。

つくば市を含む6市が筑波山地域ジオパーク推進協議会を設置し、筑波山地域が日本ジオパークの認定を受けています。

筑波山地域ジオパークの中核となる拠点施設「つくばジオミュージアム」として、地質学的な自然や文化を次世代に伝える体験型施設も設置されました。

またつくば市は、「自転車の街」でもあるんです。

つくば霞ヶ浦りんりんロード」という、つくば市の北西にある桜川市から、つくば市を通ってさらに北東の土浦市そして霞ケ浦湖岸までを結んだ、全長約180kmのサイクリングコースがあります。

2019年、このコースは国から世界に誇る「サイクリングルート」として、国内外にPRするための認定を受けました。

11月にオープンした「筑波山ゲートパーク」には「サイクルパークつくば」としてグラウンドにBMXレーシングコースを備え、りんりんロードなどでサイクリングをされる方々の休憩場も整備されました。

当協会はこれからの観光スポットとして、「自転車」と「ジオパーク」もコンテンツに加えて進めていく方針です。

※ジオパーク・・・地球科学的意義のあるサイトや景観が保護、教育、持続可能な開発のすべてを含んだ総合的な考え方によって管理された、1つにまとまったエリアを指す。(出典:日本ジオパークネットワーク

サイクリングルート制度・・・日本における新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため、ソフト・ハード両面から一定の水準を満たすルートを国が指定することで、日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルートとして国内外にPRを行い、サイクルツーリズムを強力に推進していくもの。(出典:国土交通省)

より多くの時間を、つくば市で過ごしてほしい

──今後の貴協会の動向で検討されることは何かありますか。

貝塚さん アフターコロナということで、筑波山にも観光客が戻っています。今、お話ししました観光資源をブラッシュアップしますが、つくば市は観光地としてのイメージが弱いと感じています。

週末のお出掛けとして何か情報があればつくば市に行ってみようという方も多くいらっしゃると思いますので、これから当協会としては体験型観光なども企画・提案するなどして、より多くの時間をつくば市に滞在して頂く、そして市内を周遊してもらうよう魅力発信につとめていきたい。

たとえば人気漫画を原作としたテレビアニメ「SPY×FAMILY (スパイファミリー)」とのコラボイベント『どきどきだいさくせんっ!』を2025年2月28日まで開催中です。

『どきどきだいさくせんっ!』では、筑波山ゲートパーク内「つくばジオミュージアム」にコラボ装飾や暗号探しゲームが登場。2024年3月からは周遊ラリー・オリジナルグッズ・オリジナルフード・縁日ゲームなどの実施を予定しています。

アニメも切り口に観光誘客につなげていきたい。
今、日本のアニメは海外にも人気ですから、訪日外国人の取り込みも図っていきたい。

つくば市はTX開業も相まって人口が5~6万も増加。これまでの市外向けの観光誘客に加えてつくば市に移住されてこられた方々もターゲットとし、たくさんの魅力を発信したいです。

一般社団法人 つくば観光コンベンション協会
〒300-3292 茨城県つくば市筑穂1-10-4
TEL:029-869-8333
FAX:029-869-8332

この記事の執筆者

長井 雄一朗

建設業界30年間勤務後、セミリタイアで退職し、個人事業主として独立。 フリーライターとして建設・経済・働き方改革などについて執筆し、 現在インタビューライターで活動中。

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