創業350年の清川屋が創造する特産品文化とは

山形県鶴岡市に、350年続く清川屋。創業当初は茶屋・旅籠屋を営んでいました。時代に即し事業形態を変え、現在では山形県の特産品と自社商品を取り扱う土産店です。
今回は、そんな清川屋の広報のご担当者様に、350年の歴史や特産品文化創造企業とは何か、おすすめ商品などを伺いました。

それぞれの時代の流れに合わせて業種・業態を転換

――創業1668年と約350年続く清川屋の歴史を教えてください。

清川屋の創業は天下泰平の元禄以前、寛文8年(1668年)に茶屋勘右衛門と名乗ったことが始まりです。創業当初は茶屋と兼業していました。

1931年には、鉄道が敷設されたことを機に鶴岡駅周辺が急速に整備され、清川屋も駅前に間借りし、日用雑貨を商う小売店を開業をしたのです。その後お土産店としての営業も開始し、1965年には有限会社清川屋を設立しました。

1990年に現在の株式会社清川屋へと名称・組織ともに変更しました。その後県内出店を順調に進め、
2009年には県外初となる仙台泉パークタウンTapio店をオープンさせました。山形の特産品に特化してきた事業を仙台でも展開するか社内会議を重ねた結果、新たに宮城の商品開発にも取り組み、宮城と山形両方の特産品を厳選する専門店として出発したのです。

その後2015年には「体験型おみやげ店」としてHOUSE清川屋、2020年には「山形になく 山形にしかない」をコンセプトにした複合施設「0035 BY KIYOKAWAYA(ゼロゼロサンゴーキヨカワヤ)」をオープンさせました。

このように、創業以来350余年、それぞれの時代の流れに合わせて業種・業態の転換を行いながら「清川屋」を守り抜き、現在に至ります

商品以上の価値の企業ブランドと地域の価値づくりを目指す

――「特産品文化創造企業」として活動されておりますが、具体的にどのようなことを行っていらっしゃるのでしょうか?

特産品に地域の情報(文化)と心を込めて、「特産品文化」という新しい文化の創造と発信をする事業を行っています。具体的には、地域の宝物である伝統や食文化を探し出し、磨き上げ、販売することでより多くの方へ伝えているのです。

また、「特産品文化」を創造することによって、商品以上の価値を持った信用と信頼に基づく清川屋ブランドの確立と、地域の価値づくりの実現を目指しています

山形特産品と自社開発品を取り扱う

――清川屋ではどのような商品を扱っていますか?

清川屋では、土産店として山形の特産品を取り扱っているほか、自社工場で作った製菓・お酒などのオリジナル商品を取り扱っています。

――山形の特産品は何を取り扱っていますか?

お肉・海産品から食品・お菓子までさまざまな商品を取り扱っていますが、3大青果がとくに有名です。そのラインナップはさくらんぼだだちゃ豆ラ・フランスです。

さくらんぼは言わずと知れた山形の特産品ですが、そのはじまりは、1875年に苗木が植えられたことから。その後山形は日本一のさくらんぼ産地となり、清川屋でもさくらんぼ通販開始から約30年が経ちます。さくらんぼシーズンには清川屋の社員がさくらんぼ農家に1か月泊まり込みをさせてもらっています。そして、毎日農園を見てまわり、その日最良品質のさくらんぼを見極めて出荷しているのです。
だだちゃ豆は、その美味しさから枝豆の王様とも呼ばれている鶴岡市でしか栽培されない在来野菜です。わずか数軒の農家が江戸時代から代々その美味しさを守り続け、地元の自家消費が主でした。清川屋では1993年より通販を開始し、2012年には自社農園である「だだっ子農園」を開園しました。

ラ・フランスは1903年頃に日本ではじめて苗木が植えられました。樹齢100年を超えるこの古木のラ・フランスを2023年より清川屋で取り扱っています。また、1995年からは当時の市場では規格外とされていた4~6Lのラ・フランスを大玉ラ・フランスとして販売しています。大玉は大味で風味がないなどのイメージがあり当初は販売に苦戦しましたが、一度美味しさを知った方のリピートで年々人気商品に変わっていきました。そして今や清川屋の大玉ラ・フランスは秋冬のフルーツギフトの定番となっています。

――オリジナル商品はどのようなラインナップがありますか?

たくさんあるので、今回は「ミ・キュイカカオ」「ほわいとぱりろーる」「亀の尾」を紹介しますね。

ミ・キュイカカオは、前身である「ミ・キュイ」を2001年より通販を開始しました。そのおいしさから、即完売を繰り返し、早いときには100台がわずか1分で完売する人気ぶりでした。しかし、惜しまれつつ2019年に終売。2年の時を経て2021年に「ミ・キュイカカオ」として復活しました。レンジで7秒温めれば、中からとろりとチョコレートが溢れだすなめらかな口どけ。香り高く、味わい深いチョコレートケーキです。

ほわいとぱりろーるは、2005年に誕生した真っ白なロールケーキです。もちっとしっとり、シュワっとミルキーな口当たりで、一度食べたら忘れられないと評判です。2005年当時は、スポンジに薄くクリームを塗り巻いたものが一般的なロールケーキでした。ほわいとぱりろーるはたっぷりとクリームを塗りふんわりと巻き上げたもので、初めての味わいと衝撃を与え数多くのメディアでも取り上げられました。2022年には「ザワつく!金曜日」で一番食べたいロールケーキに選ばれるなど長きに渡り愛されている一品です。

亀の尾は1725年創業の鯉川酒造とともに作っている日本酒です。同じ庄内という地に根ざし、庄内を思う気持ちが一致し共同で商品を作ることとなったのです。ササニシキやコシヒカリなどのブランド米の祖先である庄内発祥の米「亀の尾」。昭和に一度栽培は途絶えてしまいましたが、鯉川酒造が見事復活させました。日本酒にするには技術がいり難しい米と言われながらも、庄内のおいしい水、県産酵母を使いキレのある辛口純米酒を作り続けているのです。

――通販サイト内で扱う商品の選定のこだわりなどを教えてください。

美味しいのはもちろん、山形県産であること、山形とはどのようなところかが伝わる商品、山形にいなくても山形を感じられる商品を選定しています。

「本物志向」をモットーに掲げ、主力商品には香料や着色料などの添加物の混ざりものを極力使わない、安心安全な商品をお届けするようにしています。

3つの真心を大切に幸せを生み出したい

――清川屋の今後の展望をお聞かせください。

企業理念でもある「3つの真心を大切に、地域文化創造活動をさらに推進していきたいです。

  • お客様を1番に考える真心
    創業の頃より、もてなしの心が大切に受け継がれてきました。お客様の心に寄り添い行動することを大事にしています。
  • 自由な発想を支える真心
    様々なバックグラウンドを持つ仲間たちがそれぞれの意見を持ち寄りお互いに認め合う真心を育てます。
  • 真心を伝える商品を
    ひとつの商品が誕生するまでにはたくさんの人の真心が込められています。商品が生まれた背景と関わる人の思いを伝えることを大切にしています。

今後も店舗、ネットショップ、カタログ通販、SNSの多種多様な手段を使い、山形の商品を発信していきます。それにより、知ることで繋がる、食べることで繋がる、これまで繋がらなかったモノやヒトが交わること、その豊かさから生まれる幸せを信じて今後も事業展開していく所存です。

株式会社 清川屋

〒997-0011 山形県鶴岡市宝田1-4-25
TEL:0235-222-111
FAX:0235-222-112

この記事の執筆者

大久保 さやか
フリーランスWebライター。様々な業界での職歴を持つため、企業インタビュー記事執筆を中心に活動中。

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