長湯温泉の魅力を全国に!! 長湯ホットタブが複合施設やオートキャンプ場を新設

大分県・竹田市の長湯温泉は、世界屈指の炭酸泉として有名です。小星重治氏は、多くの人に竹田市の良質な温泉の存在を広めるために、株式会社長湯ホットタブを創設しました。

株式会社長湯ホットタブは、長湯温泉から生まれた中性重炭酸入浴剤の販売や世界的建築家、坂茂(ばん・しげる)氏が設計した温泉利用型健康増進施設「クアパーク長湯」をオープン。

またことし6月には山と川に囲まれた「重炭酸温泉とサウナ」を満喫できる、オートキャンプ場「グランパーク長湯」も開設しました。

そこで今回は、株式会社長湯ホットタブの平田泰浩さんに話をうかがいました。

※特に断りがない場合は、写真の出典は長湯ホットタブ関連のHPが出典です。

株式会社長湯ホットタブ

担当者 平田泰浩さん

広報

世界屈指の炭酸泉で有名な長湯温泉

長湯温泉街 芹川沿いの河原にある無料の露天風呂「ガニ湯」もある

──まず長湯温泉の歴史と魅力についてお願いします。

平田泰浩さん(以下、平田さん)  湧出量、炭酸濃度、温度などの観点から、世界屈指の炭酸泉(たんさんせん)と言われる長湯温泉は、大分県の竹田市に位置しています。

※炭酸泉・・・身体に付着し体内に浸透した炭酸ガスに血管を拡張する効果があるとされ、血流が改善し心臓の負担が軽減されると言われている。

2007年12月には地元の長湯温泉協会が、「長湯温泉は日本一の炭酸泉」と宣言、特に炭酸泉で有名な温泉地です。

温泉の質に加えて、山の中にあるので水もよい点が特徴になります。自然も豊富で、近くに芹川が流れており、ゆっくり温泉に浸かることができます。

伝承によると、奈良時代にはすでに発見されており、江戸時代には岡藩主の中川久清などに愛され、藩主・藩士の湯治に認められていた古い温泉地です。歴代藩主が愛した「御前湯」は、岡藩が建設した湯屋が始まりと伝えられています。

※岡藩・・・江戸時代の豊後国(現在の大分県の一部)に存在した藩。藩庁は岡城(現在の大分県竹田市)。

※中川久清・・・江戸時代前期の大名で岡藩の第3代藩主。藩政の確立と教育の普及に努めた名君であり、岡藩中興の英主と歴史的評価が高い。

その泉質は「飲んで効き 長湯して利く 長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」と評価されるほど、効能の高さで注目を集めています。

長湯温泉は血行を促進するため、神経痛や心臓病に効き、また、飲めば胃腸の働きを活発にするので、胃腸病、便秘やアトピーに効果があると言われています。

私は、大学卒業後、設計事務所で働いたのち、飲食店の立ち上げや、道の駅の立ち上げ、コンサルティング事業などに従事してきました。

そこでいろんな観光地で温泉を楽しみましたが、温泉地の泉質により、効能効果が違うことを知り、そういったことを他の人にも知ってほしいと感じました。そして、今まで訪れた温泉のなかでも、特にこの長湯温泉は素晴らしい効能効果があることを実感したのです。

効能効果を理解したうえで温泉に入ると、もっと温泉は楽しめます。

炭酸泉は血管の中まで重炭酸イオンが浸透しますから、血管を拡張して血流をよくしてくれるのです。老廃物の流れも速くしてくれますので、別名「若返りの湯」とも言われています。

長湯温泉の炭酸泉は、古くから与謝野晶子・鉄幹夫妻をはじめ多くの文豪・文化人に愛され、ゆかりの歌碑も多く点在しています。文豪も長期間滞在し、さまざまな作品を生みました。

温泉がゆかりでドイツの自治体と姉妹都市に

ドイツ・バートクロツィンゲン市は温泉による治療が盛んな地域(出典:竹田市HP)

──ドイツともゆかりがあるようですが。

平田さん 世界的な温泉療養地であるドイツ・バートクロツィンゲン市の炭酸泉は、長湯温泉と同じ泉質です。そこで1988年、長湯温泉のある直入町(なおいりまち)の当時の町長はバードクロチンゲン市と姉妹都市を結びました。

竹田市では飲泉所・建物などのデザインやドイツワインなどでドイツ文化を感じることができます。ドイツでは温泉を医療として導入しています。医師が温泉の浸かり方、どのような運動をするなどを患者に指示し、温泉に入るのです。

直入町は2005年に竹田市と新設合併しましたが、姉妹都市協定は、竹田市に引き継がれ、現在も健康づくりの街として、竹田市とバートクロツィンゲン市の連携につながっています。

元気になれる黄金の法則「竹田式湯治」

「笑」「食」「歩」「温」がそろう「竹田式湯治」

──昔から湯治(とうじ)が盛んな地域だったのでしょうか。

平田さん もともと長湯温泉は、湯治場としての要素も強く、昔は稲刈りを終えると、周辺の農家は長湯温泉に湯治に来ていたと言います。昔は湯治宿があったようですが、今はほぼ旅館です。

※湯治・・・温泉に入ることを通じて病気の治療や健康の回復を図ることです。

そこで長湯温泉がある竹田市は「温泉療養保健制度」を核とした「竹田式湯治」に取組み、長湯温泉協会も「日本一の炭酸泉で湯治体験をしてみませんか?」と呼びかけています。

──その「竹田式湯治」はどんな湯治方法なんでしょうか。

平田さん 通常、湯治とは、医薬品や外科的方法を使用せず、温泉入浴効果が認められているお湯に一定期間浸かり、本来、身体が持っている自然治癒力を引き出し、細胞や精神的な免疫力を高めることを指すのです。

この通常の湯治に加えて、「歩いて、食べて、笑う」という一連の行動で心身ともに健康になっていただくのが竹田市独自の湯治スタイルです。

つまり、「竹田式湯治」は現代版湯治であり、元気になれる黄金の法則といえます。

竹田市内では、長湯温泉療養文化館「御前湯」「直入B&G海洋センター」、当社の「クアパーク長湯」の3施設が、厚生労働省から「温泉利用型健康増進施設」として認定を受けています。

※温泉利用型健康増進施設・・・厚生労働省が定める一定の基準を満たし、温泉を利用した健康づくりを図ることができる施設のことをいいます。

この3つの認定施設を利用して温泉療養を行い、要件を満たしている場合には、施設の利用料金、施設までの往復交通費について、所得税の医療費控除を受けることができます。

※制度の詳細は、一般財団法人 日本健康開発財団のHPをご参照ください。

長湯温泉と同等の効能の入浴剤を発売

──次の質問からは御社の事業に移りますが、まずは入浴剤の説明からお願いします。

平田さん 長湯温泉は国内炭酸泉の中でも恵まれた泉質により自然療法に適した環境です。この泉質を目指し竹田市と共同で「長湯ホットタブ」を生み出しました。

一回、3錠を溶かし込んで、溶け切ったタイミングで入浴します。溶けだした重炭酸イオンがお風呂の中に充満し、15分ほどぬるめのお湯に入ると、じわっと汗が出ます。

これは重炭酸イオンが血管の中に浸透するのが15分かかるためです。そこからさらにプラス15分、合計30分入ることをおすすめしています。ぬるめのお湯でも体の芯から温まり、入浴後も効果の持続を体験できます。

重炭酸イオンが、温浴効果を高めるので、長湯温泉と同様に血行を促進し、冷え症, 腰痛, 肩こり, 疲労回復 リウマチなどに効果があります。入浴後、1時間ほどするといい睡眠に入れます。

男性のお客様の中には毛穴の汚れが取れた効果もあったというお話もありました。

オンラインショップでもリピーターの方が年々増え、定期購入されているお客さまも増えて大変、好評を得ています。

長湯温泉の炭酸泉の効果を知っている方で、入浴剤を試してみると、「同じ効果がある!」と身体で感じ、リピーターになっている方も少なくありません。

実は、「長湯ホットタブ」には誕生の秘話があります。代表の小星がドイツで体調を崩したときに、現地の医者から「ドイツの温泉に入って治療するのが良い」と助言を受け、湯治をしました。

そこで回復した経験をもとにドイツと同じ泉質を持つ温泉を日本で探したところ、長湯温泉に行きついたのです。そして、長湯温泉の炭酸泉をイメージした入浴剤「長湯ホットタブ」が誕生しました。

また、長湯温泉に恩返しをするため、2019年から「クアパーク長湯」の運営を開始しました。

温浴法療養複合施設「クアパーク長湯」に熱い視線

世界的な建築家の坂茂氏により、木をふんだんに使った設計

──その「クアパーク長湯」とはどんな施設でしょうか。

平田さん 1Fには水着を着て家族やカップルで入れる温泉施設、50mの歩行湯と運動浴槽があります。そこはほぼ露天風呂状態で、市内を流れている芹川を見ながら運動と休憩をできるのが特徴です。

2Fは男女別浴室がある温泉棟、そしてレストラン棟、コテージタイプの宿泊棟からなる複合施設となっています。

おかげさまで、毎月湯治にいらっしゃるリピーターも増えています。自然の中を楽しんでいただく温泉施設となっています。

「クアパーク長湯」は世界的建築家の坂茂氏による木をふんだんに使った設計となっております。

3つの施設は、木や再生紙を使った世界でも例を見ない独自の木造建築。自然と一体になった建築が、自然の恵みを満喫できる素晴らしい空間をつくり出します。

宿泊棟は各コテージタイプになっていまして、1棟あたりが2~4名泊まれます。ロフト付の部屋は4名、ロフトなしの部屋は3名までです。湯治でゆっくりされる方のために、シングル部屋も4室あります。

料理については宿泊された方のみに、朝食と夜食として和食系の創作料理を提供しておりますが、ランチは一般の方もご利用できます。

さらにことし6月に、芹川のせせらぎを感じながら、サウナと重炭酸泉を存分に楽しめる​新感覚オートキャンプ場「グランパーク長湯」をグランドオープンしました。

長湯温泉を活かしたオートキャンプ場を開設

2023年6月にオープンした「グランパーク長湯」

──それはどのような施設でしょうか。

平田さん 「グランパーク長湯」は、山・川・温泉を全て満喫できる、極上の新体験オートキャンプ場となっています。長湯温泉の新たな観光地として、地域の集いの場としてのコミュニティにも貢献する想いでこの度オープンしました。

近隣には小学校も隣接しており、山・畑もあるため、地域の皆さんと手を取り交流を持てる、そんな地域作りにも一役買える場として、今後は活用の幅を広げてまいります。

施設は、重炭酸露天・足湯・水風呂が1か所ずつあり、長湯温泉の源泉をかけ流しています。オートキャンプエリアは、全10区画あり、ゆったり広めのスペースを確保しているため、お隣さんとの距離感も気にならず、ご家族で楽しめます。

重炭酸泉足湯(左奥)・露天(中央・)水風呂(右手前)

また、フリーテントエリアは全5区画を用意して開放的な空間を演出、管理棟に近いエリアのため、更衣室利用などがしやすく1番利便性が高いエリアです。

すべてのテントサイトには電源もついていますので、キャンピングカーでも泊まれます。

日本RVパーク協会(横浜市)は、「快適に安心して車中泊が出来る場所」を提供するため、全国各地で条件を満たした施設の認定をしています。

テントでの宿泊ではなく車中泊を快適に楽しむ人たちのための認定が「RVパーク」です。今回、「グランパーク長湯」はその「RVパーク」の認定を受けました。

ほかにも、インドアキャンプやテントサウナを用意しています。

「クアパーク長湯」の近くには県と市が運営している河川プールがあります。その横に以前、旅館があったのですが、その旅館を改装し、このほど「グランパーク長湯」を開設しました。

6月にオープンしたばかりですが、最近のキャンプブームもあり、温泉にも入れるということでかなりの人気となっています。「クアパーク長湯」と同様、水着で入れる温泉施設となっています。

「クアパーク長湯」と一緒に使えるようになっていますので両施設の相乗効果は高いです。

歴史、グルメ、観光そして温泉、魅力満載の大分県竹田市

名曲「荒城の月」の着想を得た可能性のある岡城址(出典: 竹田市観光ツーリズム協会)

──最後に竹田市の観光にも触れておきたいのですが。

平田さん 竹田市は大分県南西部、九州の真ん中に位置し人口は2万人おります。大分県の台所ともいわれ、農業が盛んな地域です。

野菜関係は一通りそろいますがこの7月ではスイートコーンの時期、もう少しするとカボスが収穫され、冬には絶品で甘いトマトが待っています。

観光では、市内中心部には日本百名城の一つ、江戸時代には難攻不落と言われた国指定史跡・岡城跡があり、その下には武家屋敷通りなどの城下町が残っています。

瀧廉太郎(たきれんたろう)は名曲「荒城の月」をつくるときに、岡城址から着想を得た(※諸説あります)ともいわれています。

※瀧廉太郎・・・明治期における西洋音楽黎明期の代表的な音楽家の一人で、歌唱共通教材として「荒城の月」が知られています。

荒城の月・・・「春高楼(こうろう)の 花の宴(えん)~」から始まる童謡。小学校や中学校の音楽の教科書に掲載されています。

瀧廉太郎は少年時代を竹田市で過ごしましたので、今でも音楽関係の方が訪れることが多いです。

先日もヴァイオリン奏者・古澤巌さんが「クアパーク長湯」で演奏会を開きました。

このほか標高1700mを超える雄大な山々が連なる「くじゅう連山の麓」に青々とした草原が広がる「阿蘇くじゅう国立公園」など美しい岩峰や渓谷など自然に恵まれた地域です。

たとえば、ダイナミックな黄牛の滝(あめうしのたき)は、Amazonプライム「いちばんの特典」のCMに使われました。

Amazon プライム「いちばんの特典」編
Amazon プライムのCMに使われた黄牛の滝(あめうしのたき)(出典: 竹田市観光ツーリズム協会)

幻想的な雰囲気の「白水の滝」は、秋の紅葉シーズンでは人気のスポットです。竹田市は、決して大きい街ではありませんが、自然、歴史、温泉、グルメなど、観光客の皆さまを満たす魅力にあふれています。

もちろん長湯温泉、私どもの「クアパーク長湯」「グランパーク長湯」もその一翼を担っていると自負しています。

是非、竹田市においでいただき、観光とともに温泉を楽しみ、湯治で療養に役立てて欲しいと心から願っています。

株式会社長湯ホットタブ

8780402 大分県竹田市直入町大字長湯7673番地
TEL:0120-535-456 

この記事の執筆者

長井 雄一朗

建設業界30年間勤務後、セミリタイアで退職し、個人事業主として独立。 フリーライターとして建設・経済・働き方改革などについて執筆し、 現在インタビューライターで活動中。

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