標高1,200メートルのフィールドで思いがけない感動と巡り合う

清里高原は山梨県北杜市、八ヶ岳のふもとにある高原リゾートで、南アルプス・富士山にも囲まれた自然豊かな場所です。

トレッキングやテニス・スキーなどのアクティビティや牧場・温泉などに加え、美しい景観の森や滝などがあり、その楽しみ方はさまざま。

今回は清里高原の魅力や楽しみ方、清里の土地と水との深い関わりについて、清里観光振興会 会長の舩木良さまにお話を伺いました。

四方を山々に囲まれた、自然いっぱいのリゾート地

──清里高原はどんな場所ですか？

舩木良さん（以下、舩木さん）　清里高原は長野県との県境、山梨県の北部に位置しています。 

正面に富士山を望み、北側には八ヶ岳、 西側には南アルプス、西側には秩父連峰という風に四方を山に囲まれた高原リゾートです。

標高は1,000メートル前後、1番高い場所では八ヶ岳の頂上にも達します。

──清里高原の魅力をお聞かせください。

舩木さん　我々がお客様に一番楽しんでいただきたいのは、清里高原の自然です。

自然景観は四季を通じて様々な表情がありますし、もちろん1日の中でも朝・昼・晩を通して晴れたり曇ったり、雨が降ったり雪が降ったりと目まぐるしく気象が変わります。

ただ、もし雨が降って天候が悪くなってしまった場合でも、それは自然が織りなすものです。

我々としては、お越しくださるお客様に「雨で残念ですね」と言うよりは「今日は雨を楽しんでくださいね」とお伝えしたい気持ちでおります。

清里高原の近くには、国道やJRの路線など人間が作った建物・電柱・道路もあります。けれど、少し足を伸ばせば人工物はほとんどなく、自然いっぱいの場所がたくさんあります。

夜なんかは真っ暗で街灯もなく、星がとても良く見える素敵な場所がすぐ近くにあったりします。

清里は古くから水と密接な関わりのある場所

──清里高原で楽しめる名水スポットについて、見どころをお聞かせください。

舩木さん　清里高原は四方を山に囲まれていて、渓流や滝といった水に関わる観光スポットが豊富にあります。

『吐竜（どりゅう）の滝』『宮司（ぐうじ）の滝』『大滝』を始めとして、清里駅から半径5キロメートル以内には大小たくさんの滝が存在します。

標高1,200メートルの八ヶ岳から雨水や湧水が流れ込み、あちらこちらに発生している落差がこうした滝を形作っているようです。

清里高原は北杜市高根町清里という場所にありますが、同じ市内には『サントリー天然水』や『いろはす』の工場もあります。

また、周辺には『大泉』『小泉』といった地名のついている場所があり、この周辺には昔から水と深く関わり合ってきた歴史があったようですね。

──他にも、清里高原には「清里天然温泉※」がありますよね。

※清里天然温泉・・・清里高原「清里丘の公園」内にある温泉施設。八ヶ岳南麓に湧くアルカリ性の天然温泉で、保温・肌を柔らかくする効果があり、「美人の湯」としても有名。大自然の景観を堪能できる露天風呂、源泉かけ流しの内風呂、サウナなどが楽しめる。

清廉な水と豊かな気候、美しい景観に恵まれた土地

──清里高原ではみずみずしい野菜やお酒が楽しめると伺いました。

舩木さん　山梨県の北西部に位置する北杜市では日本酒・ビール・焼酎・ウイスキー・ワインなど5種類のお酒を造っています。

また、周辺には非常に長い歴史を持つ日本酒の酒蔵が3〜4軒あります。同じ地域でこれだけお酒造りの盛んな場所はちょっと珍しいのではないでしょうか。

一般的なアルコールの中でも、メジャーどころを1つの土地の中で作っているというのはそんなに多くないと思います。 

※萌木の村で醸造されるクラフトビール「八ヶ岳ブルワリー」

──お酒造りには清廉で美味しいお水が欠かせないと言われますから、やはり、この点においても清里は水の恩恵を受けている土地なのだなと感じます。

舩木さん　はい。なにか科学的な根拠があるわけではないですが、清里高原は『八ヶ岳おろし』と呼ばれる風が吹いたり、季節の移り変わりがはっきりしていたりと、お水だけでなく土地の持つ豊かな気候も特徴です。

それが野菜や果物といった農産物に良い影響を与えているんじゃないかなと思っています。

──自然の景観を保つために行っている取り組みなどはありますか？

舩木さん　お客様に清里高原の美しい景観を楽しんでいただけるよう、月に1回の清掃を行っています。

ボランティアで地域住民の皆さまや清里観光振興会の会員様が集まり、道に落ちているゴミを拾ったり雑草を刈り込む活動をしています。

自然を相手にすることの「想定外」「思いがけなさ」「ままならなさ」が清里高原独自の魅力

──清里高原を訪れるお客様に向けて何かメッセージがあればお願いします

舩木さん　清里高原を訪れるお客様は、「リフレッシュをしたい」とか「自然を楽しみたい」とか、十人十色、色んな目的をもっておられるかと思います。

ただ、私が思う清里高原の楽しみ方はいわゆるテーマパークとは全く真逆だと感じていまして。

たとえば清里で星を見ようと思ってお客様が来られても、雨のせいで体験できないということはしばしばあります。

清里高原でのアクティビティは天候に大きく左右されるもの。思い通りの楽しみ方が出来ないこともあります。

だからこそ逆に「雨で星が見えないならどう楽しもうか」と新たな楽しみ方を探したり、発見できるリゾートであるとも思っています。

『自然の美しい景観』は当リゾートのアピールポイントでもありますが、自然が相手ですから「いつ来ても綺麗な夕焼けが見られますよ」「星がきれいに見えますよ」と保証はできません。

清里高原は想像とは少し違うけれど、予想もしていなかった新鮮な驚きや感動がある場所です。それをお客様にもカルチャーとして受け入れていただければ、ありがたいなと思っています。

──そうですね。でも、そうした「ままならなさ」が清里高原の持つ唯一無二の良さとも言えるかもしれません。

お客様の方から「どう楽しもうかな？」と考えてお越しいただいて、もし思ったような観光にならなくても「じゃああれをやってみようか」「次は〇〇〇するぞ」といったように、違った楽しみ方を見つけられる。遊園地やテーマパークとは全く違う楽しみ方ができるということですね。

舩木さん　はい。普通の観光地ですと、しっかりしたおもてなしと「お客さんを感動させるぞ！」という意気込みのようなものがあると思います。

しかし、清里高原では頑張りすぎず自然体で、身の丈に合った「おもてなし」をご提供できたらと思っています。

──リゾートやテーマパークというと、楽しみ方が決まっていて、アクティビティがしっかり準備されていて…というイメージですが、清里高原では「自然との一期一会を楽しむ」というイメージなのですね。

実際、自然に囲まれた場所に来ると、思い通りの観光にならないということは多々あると思います。けれど、それが清里高原ならではの面白みに繋がっているのだと感じました。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。