「名水100選」に選ばれた伝説の水。信州北部の木島平村の魅力とは

長野県・信州の北部に位置する木島平村(きじまだいらむら)は、昔から自然と人が共存してきた地域。
村の多くを森林が占め、のどかな田園風景が広がっています。

今回は、木島平村観光振興局にインタビュー。地域の魅力や「水」にまつわる観光スポット、おすすめの楽しみ方などについてお話をうかがいました。

木島平村観光振興局

担当者

村の産業を支える名水「龍興寺清水」

木島平村のあらゆる食を支えている「龍興寺清水」。環境省の「平成の名水100選」にも選定されている。(画像提供:木島平村観光振興局)

——最初に、木島平村はどのような地域なのでしょうか?

長野県の北部にある豪雪地帯で、人口4000人ちょっとの小さな村です。昔から自然と人が共に発展してきました。
村の約81%を森林が占めており、そこから育まれる恵みによって美味しい農作物が作られています。

山々に囲まれた里には、のどかな故郷を思わせる田園風景が広がり、四季折々の表情を見せてくれます。

春から秋にかけてはキャンプ、登山、トレイルランニングができます。冬季にはウィンタースポーツも。
1年を通してさまざまなアクティビティを存分に楽しめる場所です。

——「水」にまつわる魅力や観光スポットについて教えてください。

木島平村には多くの清水があります。
カヤの平高原には「森のダム」と呼ばれるブナの原生林が広がり、天然の貯水池になっているんです。この水は、2本の川を伝って村や里に流れています。

また、環境省の「平成の名水100選」にも選ばれた「龍興寺清水」があります。村の産業を大きく支えてきた名水です。
龍興寺清水にまつわる伝説もあります。弘法大師空海が日本中をまわっていた際、木島平村にも立ち寄ったのだとか。

そして、村人に「水が欲しいか、湯が欲しいか」と尋ね、村人は「水が欲しい」と望みました。答えを聞いた空海が杖を地面に着けた途端、こんこんと清水が湧き出したと言われています。
また、かつてこの場所には龍興寺というお寺もあったそうです。

清水は軟水のやわらかい飲み口が特徴。地元住民だけでなく遠方からも多くの方が訪れ、水辺はいつもにぎわっています。

このお水で育ったお米は毎年コンクール入賞しています。さらにこのお水で炊くとより一層美味しくなります。

お水によって引き立てられる数々の名産品

木島平村の名産品「名水火口(ぼくち)そば」。年間を通じてそばに関するイベントも開催されている。(画像提供:木島平村観光振興局)

——そうなのですね! お米以外ではどのように活用されているのでしょうか?

木島平村のお酒「内山乃雫」は、ひとごこちというお米と龍興寺清水で作られています。
このお水を使うようになってから、品評会で金賞を受賞したこともあり、お水の美味しさが証明されているんです。

豪雪地帯を活かしたプレミア日本酒「雪中貯蔵酒」もあります。
「雪に埋めてみたらおいしくなるのでは」と、内山乃雫を雪に埋めたんです。それで春先に飲み比べをしたところ、味の違いに関係者の皆さん全員が驚いたのだとか。雪に埋めると「かど」がとれて味がまろやかになっていたのです。

今では3000本を超える本数が貯蔵されるようになっています。春から3ヶ月ほど雪の中で眠らせて、掘り出しイベントはお祭り騒ぎ。すぐに売り切れてしまうこともあるそうです。

このように気温や環境で、年によって味が異なるというのは、生きている日本酒ならではの楽しみ方だと言えるでしょう。

——担当者さまがおすすめするグルメも教えていただきたいです。

こちらも龍興寺清水を活用した「名水火口(ぼくち)そば」です。

木島平村のそばは、7月下旬から8月上旬に種を播き、10月中旬に刈り取り、11月上旬から新そばが村内の各店舗で提供されます。

地元産のそば粉と龍興寺清水、つなぎに雄山火口(オヤマボクチ/ヤマゴボウ)を使用した手打ちそばを「名水火口そば」と命名。地域の名産になることを願って名づけました。

名水火口そばの特徴は、風味豊かでのど越しが良く、強いコシがあること。ぜひ一度味わってみてくださいね。

「楽しむ」と「暮らす」。どちらも叶えられる場所

電動アシスト自転車「E-BIKE」があれば、登り坂も清々しく楽しむことができる。(画像提供:木島平村観光振興局)

——ありがとうございます。では、おすすめの楽しみ方はありますか?

木島平村は自然豊かで、季節とともに日々変わっていく景色は毎日見ていて飽きません。

もっと自然を楽しみたいという方には、サイクリングがおすすめです。景色が綺麗な場所がたくさんあるので、いくつも回ることができます。

ただ、木島平村は山々に囲まれており、登り坂が多いです。そのため、電動アシスト自転車の「E-BIKE」のレンタルをおこなっています。

特に体力差のあるカップルやファミリーにおすすめです。利用者の方からは「楽々遠くまで行けるのでびっくり」「急な坂も息切れせずに登れるなんて爽快」といった声をいただいています。

——近年は地方移住をする方も増えていますが、「暮らす」という観点ではいかがですか?

木島平村は里山に近い自然豊かな地域で、日本の本来の四季の美しさや、日本のふるさとの原点を肌で感じていただけます。

さらに、地域の方との繋がりも感じられます。
私も村の方から野菜をたくさんいただいたり、「今日の夕食決まってる?」とカレーをお裾分けしていただいたり。とてもあたたかい方が多いですよ。

また、自然の中でのびのびと「子どもの可能性を伸ばす教育」にも力を入れています。

園児から高校生くらいまでの村の子どもたちに会うと必ず元気に挨拶してくれ、公園で遊ぶ子たちはお互いに助け合っている姿をよく見かけますよ。

木島平村は自然豊かな地域でありながら、JR東日本北陸新幹線・飯山駅から車で10分の場所に位置しているので、スーパーマーケットなども近いんです。東京までは新幹線で最速1時間40分と、比較的アクセスも良いです。

——最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

木島平村は一見すると「何もない」かもしれませんが、だからこそ感じられる自然の存在や四季の移ろいがあります。

都会の雑踏から離れ、ゆったりとした時間が流れるすばらしい場所です。
一度訪れれば、どこか懐かしい気持ちになってまた帰ってきたくなるはず。ぜひ、みなさんも「ふるさと」を体験しに来らっしゃい!

※来らっしゃい…方言で「いらっしゃい」の意味。

木島平村観光振興局

〒389-2303 長野県下高井郡木島平村大字上木島38₋1
TEL:0269-82-2800 (道の駅ファームス木島平内)

この記事の執筆者

志摩 若奈(しま わかな)

個人事業主として、取材や執筆、カウンセリングをおこなう。「自分と繋がる瞑想法®︎」を活用した、自己信頼や自己受容を育むセッションを提供中。お問い合わせはInstagramのメッセージまで。

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