生き物と飼育者を豊かにするために──生体を扱う通信販売が強み

「お客様とペットに豊かな暮らしを」という企業理念のもと、群馬県の小さなアクアリウムショップを始めた株式会社チャーム。現在は、多くの方に商品を届けるべくインターネットでの通信販売を行っています。

アクアリウムだけでなく、ペット用品全般へ。株式会社チャームは扱っている商品を増やしてきました。

それは、あらゆるペットたちの暮らしを豊かにしたいと、生き物に寄り添った歩みを続けているから。

今回は、そんな株式会社チャームの舛方様と佐藤様にお話を伺いました。

株式会社チャーム

舛方 涼子さん

マーケティング本部  マーケティング部  導線課 課長 兼 WEB制作課 課長

株式会社チャーム

佐藤 康史さん

生体本部  生体部  生体販促課 課長

はじまりは、小さなアクアリウムショップ

──株式会社チャームの、これまでの歩みについてお聞かせください。

弊社は元々、群馬県邑楽郡邑楽町の小さなアクアリウムショップから始まりました。訪れたお客様にアクアリウムの素晴らしさを伝えたいと、水槽が並ぶギャラリーを設けていました。

ですが、より多くの方に商品を届けたいと考え、2000年当時まだ珍しかったアクアリウムのインターネットによる通信販売を開始。

その後、楽天やYahoo!ショッピング等のモールへの出店を行い、取り扱い商材もアクアリウムに止まらずペット用品全般へと広がっていきました。

──当時珍しかったインターネットでの生体の取り扱いについて、特にご苦労された点はありますか?

健康な、いきいきとした状態でお届けすることですやはり取り扱う生き物に合わせた送り方…たとえば温度や梱包状態、そして安全性などがあります。

アクアリウムでの通信販売というのはやっているお店が少なかったので、真似できるようなところがなく、すべて自分たちで作っていくような状態でした。

それがインターネットによる通信販売を始めてから、現在も続いている一番の課題かもしれません。

Webサイトが本店である、その強みとは?

──実店舗は、2019年に館林店へと移転されたようですね。その後2022年に小石川店をオープンされましたが、あくまでも本店はWebサイトであるとのこと。その強みをお聞かせいただけますか?

やはり、弊社の一番の強みはECに関わる業務(商品発注・在庫管理・WEB制作・システム開発・商品撮影・カスタマーサポート・生き物の管理・生産・物流)を、すべて自社で行っていることだと思います。

自社で完結させることでスピーディな対応と独自性を持った動きが可能となり、新しいアイデアをどんどん取り入れていくことができます。

その形が企業理念でもある「お客様とペットに豊かな暮らしを」という点で、非常に強みになっているのではないでしょうか。

アクアリウムだけでなく多種多様な商品を取り扱い、それを広くお客様の元へ届けることができるからです。

アクアリウムの面白さと難しさ

──貴社の主力であるアクアリウム。生き物に合わせた水づくり、環境づくりがあると思いますが、どのような点が面白さであり、難しさでもあるでしょうか?

面白さでいえば、飼育する生き物の生息域の水質に合わせることで本来の色彩が出て非常に美しい姿を魅せてくれることです。明確な定義はありませんが、本来の色彩が出た個体を「飼いこみ個体」という名前で呼んでいるんですよ。

それほど、自分の部屋に水槽という非日常的な環境で美しい姿を眺めることは非常に癒やしになりますし、私たちを楽しませてくれます。

また、日本の水は軟水なので、比較的生体に合わせた水に整えやすいとされています。そのため、硬水であるヨーロッパに比べれば、水という面で飼育しやすいのではないでしょうか。

自然界では汚れなども循環されて常に良い水質に保たれます。しかし、水槽内では水質を維持するために汚れを取るフィルターや温度を保つヒーターなどが必要です。

また、それ以外にも水自体を新しいものに交換する管理をし続けなければなりません。それらが、アクアリウムの難しさであると思います。

あと、ニーズに合わせて昔よりも小さい水槽が「標準」とされることが多くあります。容量が少ない水槽ほど水質が安定しにくいため、その辺りも難しさといえるかもしれませんね。

ただ、難しさは面白さであるという側面もあります。

──アクアリウムへの需要の高まりと、環境へ与える影響について感じるところはありますか?

そうですね。アクアリウムの需要増加による採集圧、つまり生き物を採りすぎてしまって環境に影響を与えているということは、そこまで多くないと認識しています。

環境保全の観点からも、採集による環境負荷を少しでも減らせるよう繁殖した個体を取り扱ったり、現地の問屋さんとうまくバランスを取りながら仕入れたりすることも多くあります。

ただ、熱帯魚の主な生息地というのは南米と東南アジアなどが主です。

それらの国の経済成長や魚たちの生息地で土地開発が進むことで、森林の伐採、農薬や汚水などから環境破壊が問題になるということはあります。

水と土地は切っても切り離せないだけに、そこは難しいところだなと感じています。

──アクアリウム初心者の方におすすめの生体と、アドバイスをぜひお願いします。

飼育しやすいお魚の特徴として、以下のような特徴が挙げられます。

  • ご飯をよく食べる
  • 他のお魚と一緒の水槽でけんかしない
  • 比較的小さめの個体

具体的な種類としては、ネオンテトラ・プラティ・アカヒレなどが初心者の方にもおすすめできるでしょう。

ネオンテトラ
ミッキーマウスプラティ
アカヒレ

また、どんなお魚を選ぶ場合でも、選んだお魚ががどのような種類なのかを調べてみるといいですね。今はインターネット上にたくさんの情報が掲載されていますから、積極的に活用してみてください。

調べた上で飼育するのであれば、初心者の方でもいろいろなお魚を飼育できると思います。

近年のペット業界での需要

──アクアリウムだけでなく、近年のペット業界にもニーズの変化があるかと思います。どのような点が大きく変わっていますか?

飼育頭数の変化というのはあまりなく、むしろ一匹に対してかけるお金が非常に高くなっている傾向があるかと思います。

家族のように、むしろひとりの子どものようにお金をつかいたいという人が増えているため「こんなものまで?」と感じるようなものにまで、需要がありますね。たとえば、保育園や保険などもあるんですよ。

また、飼育しているペットに安全安心なご飯を食べさせたいという思いがかなり高まっているように感じます。

たとえばお水では、それぞれのペット用のお水があります。

猫ちゃんであれば、マグネシウム分を取り除く浄水器を使うご家庭も増えています。

食事に対しても、犬種専用や無添加、小麦粉を使用していないものなど動物に合わせて製造されたフードの需要が伸びてきていますね。

アクアリウムでも、乳酸菌が配合されたものや自然に食べているものに近い成分を配合したものなど、各メーカーからいろいろな商品が発売されているのです。 

弊社でも、フードに関しては、ご注文されてからご自宅に到着するまでの時間をできる限り早く到着するように心がけています。すべてのペットの基本となるのは、やっぱり食事ですから。

株式会社チャームの、これからの歩み

──今後の歩みについて、展望をぜひお聞かせください。

ワークショップを積極的に行うことによって、アクアリウムの間口を広げていきたいと考えています。

現在も、東京都の小石川店を中心に、アクアリウム体験教室や飼育相談会などを開催しています。これからもそういった場をもっとたくさん提供していきたいです。

たとえば小学校や、地域と連携した公共施設などでも、どんどんやっていきたいと考えています。

また、非対面でできるオンラインレッスンなども、ゆくゆくは開催していければ…と思っています。

飼育環境下にあるペットたちは、人間のように自ら快適な環境を作ることができません。だからこそ飼育者は、ペットたちが健康で快適に暮らせるように、最後まで飼育する責任を持つことが大切ですね。

そのために、私たちはこれからも、飼育者にとってもペットにとっても助けになるような物や知識を提供していきたいと思っています。

株式会社チャーム

〒370-0615 群馬県邑楽郡邑楽町大字篠塚1810-3 
TEL:0276-88-4828

この記事の執筆者

黒田 侑(くろだ ゆう)

グルメやお酒、旅と自転車を愛するWebライター。現地に足を運んだり、直接お話しを伺ったりする取材記事を得意とします。

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