敦賀市は、日本海の敦賀湾に面した福井県を代表する港町です。静岡県の「三保の松原」、佐賀県の「虹の松原」に並ぶ、日本三大松原「気比(けひ)の松原」があることでも知られています。
2024年には北陸新幹線が金沢から敦賀まで延長され、都心からぐっと身近に。開通後、国内外から観光客が増えると予想され、注目が集まっている場所です。
敦賀に訪れたら足を運ぶべきおすすめの観光スポットについて、敦賀観光協会の佐野亮太さんにお話を伺いました。
敦賀観光協会
担当者 佐野亮太さん
職員
水と深い結びつきがある敦賀の街
福井県にある敦賀は、北に日本海を抱える敦賀湾、西側から南東にかけて三方が山に囲まれています。
明治時代に、ロシアとの定期航路が開設され、日本とアジア大陸の貿易拠点として栄えてきました。
今も、当時の面影が感じられる「敦賀赤レンガ倉庫」や、「旧敦賀港駅舎(現敦賀博物館)」などのレトロな建物が現存しています。
また、敦賀には「水島」や「気比の松原」、「黒河」など、豊かな自然が魅力の観光スポットが多数あります。
1年で2カ月間しか渡れない無人島・水島
水島は、敦賀湾に浮かぶ小さな無人島です。透き通る水と白砂の美しさが素晴らしく、「北陸のハワイ」と称されています。
専用の渡し船で水島に行ける期間は7月から8月の海水浴期間中のみ。この期間は、家族連れなどで大変賑います。
──水島についてお尋ねします。水島でのおすすめの過ごし方、アクティビティを教えて頂けますか。
佐野亮太さん(以下、佐野さん) 魚が間近を泳いでますので、シュノーケリングをされている方が多くいらっしゃいます。遠浅になっているため、小さな子供でも魚を見ることができますよ。
ゴロゴロした岩やクラゲもいますので、安心して楽しんでいただくために、ラッシュガードやマリンシューズをご持参いただくのがおすすめです。
──水島に渡れる期間が7月〜8月に限られているのは、なぜでしょうか。
佐野さん 景観保護のために、人が水島に渡れる期間を7月から8月の2カ月間のみにしています。
水島の周囲には、多くの海藻が茂る「藻場(もば)」というエリアが形成されています。藻場の環境を守るためにも、人が訪れる期間を制限するのは大事な対策なのです。
毎年、海開きの前には地元の方をはじめ、市内学校やボランティアなどが集まり水島の清掃を実施しています。自然環境を維持してきた地元の皆さんのおかげで、今の美しい水島があるのです。
色のコントラストが美しい気比の松原
敦賀湾に面した松原海水浴場の砂浜。そこに広がるのは、日本三大松原の「気比の松原」です。「万葉集」や「日本書紀」にも登場するほど、古い歴史を誇ります。
古い歴史といえば大宝2(702)年の建立と言われている、これまた歴史の深い「氣比神宮」もありますす。
気比の松原から車で10分以内に行けるので、一緒に寄っていただくのもいいと思います。朱色が美しい神宮の鳥居は、国の重要文化財に指定されています。
──気比の松原について、さらなる見どころを教えていただけますか?オススメのアクティビティなどあれば教えてください。
佐野さん 全長約1km、広さは東京ドーム約7個分にも匹敵する敷地に、約1万7000本もの赤松、黒松が生い茂っています。
松だけ見ても迫力がありますが、海と白砂と青い松の色のコントラストが非常に美しいのが魅力ですよ。
──おすすめの過ごし方があれば教えてください。
佐野さん 早朝から県外の方からも多く釣りに来られています。夏季は海水浴場として、家族連れなどでとても賑います。
また、毎年8月16日には、「とうろう流しと大花火大会」がありますね。
日本海側で最大級の約1万発の花火が打ち上げられます。花火が打ちあがる中、戦没者慰霊の意味を込めた灯篭流しが行われるのです。
海面には灯篭が漂い、空には花火と、幻想的な空間が生まれます。
──訪れるのにおすすめの季節があれば教えてください。
佐野さん もちろん、夏場も良いのですが、意外にも冬の時期もおすすめですよ。
冬は松林の上に雪が被さっている光景が見られるため、いつもとは違った松原を見ることができます。
──松原は自然のままでは維持ができないという情報を耳にしました。
佐野さん 年々、松くい虫の影響で松林が減少しています。
定期的に国で松くい虫の薬剤散布作業や、市民団体・地元の学生等で松原の清掃活動を行い、松林の環境保全や維持に努めています。
夏はもちろん紅葉スポットとしても楽しめる黒河渓谷
敦賀南部に位置する黒河渓谷(くろこけいこく)は、南側の山岳地帯を水源として敦賀湾に流れ込む黒河川によって作られた渓谷です。
渓谷最奥にはブナの天然林もみられます。
この付近の土壌は花崗岩が基盤となって雨水を蓄えることができるため、動植物が豊かに育ち「緑のダム」と呼ばれています。
──黒河渓谷を訪れる方に向けて、おすすめの楽しみ方を教えていただけますか。
佐野さん 流れが緩やかな場所では川遊びや魚釣りもできます。家族連れなどでバーベキューをされている方も多くいらっしゃいます。
上流に進めば、小鳥のさえずりや滝の音をはっきりと聴くことができますよ。
涼を求めて夏に訪れるのもよいですが、秋は紅葉が大変美しいのでおすすめです。あまり知られていないようなので、知る人ぞ知る紅葉スポットですね。
日本海の海の幸に基づく敦賀グルメ
──敦賀に訪れる方におすすめしたいグルメをご紹介いただけますか。
佐野さん 敦賀の港で獲れた地魚を使った海鮮丼。敦賀のブランド養殖魚である「敦賀真鯛」と「敦賀ふぐ」。冬の味覚の王様「越前ガニ」。
そして、海産加工物である「かまぼこ」や「おぼろ昆布」などはどれも絶品です。
観光スポットだけでなく、日本海の海の幸が豊富に楽しめるところも敦賀の魅力の1つです。是非、訪れたら食べてみてくださいね。
2024年の北陸新幹線延長に向けて変化する敦賀
──最後に、豊かな水源に恵まれた、魅力の多い敦賀ですが今後どのような街にしていきたいと思われていますか。目標や展望をお聞かせください。
佐野さん 2024年春には北陸新幹線が敦賀まで延伸します。それに伴い、新しい施設やホテルが建設されるなど、街中は少しずつ変貌を遂げております。しかし、もともとあった敦賀の豊かな自然や海などはこれからも大事にしたいです。
そして、都市部から来訪いただいたお客様にホッと一息ついていただけるような街にしていきたいと考えています。
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