女子旅・ファミリーにもおすすめ。新しさと古き良き旅情「湯河原温泉」

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神奈川の「湯河原温泉」は、熱海・箱根に挟まれた温泉地。東京から1時間ほどで行くことができます。

ハイクラスの旅館も多く高級なイメージがありますが、近年では、若い女性たちや小さなお子様連れのファミリー層にも人気の場所として変化してきているそうです。

一般社団法人 湯河原温泉観光協会(以下、湯河原温泉観光協会) の 久能木 孝一様 にお話を伺いました。

一般社団法人 湯河原温泉観光協会

久能木(くのき) 孝一さん

企画課長

「万葉集」にも登場する温泉、人気のグルメは?

町営日帰り温泉施設「こごめの湯」

——湯河原温泉のお湯について教えていただけますか。

久能木 孝一さん(以下、久能木さん) 湯河原温泉は「万葉集」に唯一、温泉の湧き出る様子が詠われた温泉地です。温泉の泉質が良く、万病に効くと昔から言われています。

弱アルカリ性の泉質は美肌効果があり、保温力が高いです。婦人病や子宝などにも効能が期待できると言われているので、女性にもおすすめです。

入浴時には少し肌がヌルッとした感覚がするかもしれませんが、上がるとさっぱりとした感じになるので、ぜひ実際に体験してみてほしいですね。

——それは気持ち良さそうですね。人気のあるグルメスポットはありますか?

久能木さん 地元の豆腐を使ったスイーツを楽しめるカフェですね。「豆腐ソフトクリーム」は、豆腐とバニラアイスの絶妙な味わいがとても美味しいと人気があります。

おからドーナツや、出来立ての温かいお豆腐もおすすめです。私も良く食べますが、男性でも満足感があると思いますよ。

豆腐ソフトクリーム
お豆腐御膳

久能木さん ちなみに某有名ラーメン店が湯河原に出店されてからは、それを目当てに来られる方もいらっしゃいますね。

ラーメンを食べるついでに街のいろんな場所を散策し、宿泊した旅の様子をSNSで投稿してくださることも。とてもありがたいなと思っています。

桜・海・紅葉・梅、フルシーズンで楽しむ

——四季それぞれの楽しみ方についても教えてください。

久能木さん 春は桜、夏は海水浴やサーフィン、秋は紅葉、冬は梅林と、季節ごとの魅力があります。

久能木さん また、毎年2月上旬から3月上旬にかけて「梅の宴」というイベントを開催しています。

湯河原梅林は幕山の麓の起伏に富んだ地形にあります。梅の花は上に向かって咲くので、少し小高いところから見下ろすと、梅のじゅうたんのように見えてとてもキレイですよ。

また、この時期限定のご当地アイス「梅ソフトクリームも人気があります。味は酸味はなく、梅の香りがほんのり香るような甘い味わいです。

梅の宴(梅:約4000本)
限定ご当地アイス「梅ソフトクリーム」

初めての方におすすめ、湯河原の歴史スポット

——初めて湯河原温泉に訪れる方におすすめのスポットはどこですか?

久能木さん まずは、万葉公園の中にある狸福(りふく)神社ですね。

縁結びの神社として知られています。湯河原温泉発見の話の一つに「傷ついた狸が山間の温泉で傷が治ったことを人間に知らせた」という昔話があり、その狸を祀っているんですよ。

狸福神社
縁結びの絵馬。ご利益があります
久能木さん

ちなみに、湯河原町のキャラクター「ゆたぽん」のモデルでもあります。
また、狸福神社のある万葉公園のサブタイトルは「森と水の公園」
日本の歴史公園100選にも選ばれ、散策にもおすすめです。

湯河原町のキャラクター「ゆがわら戦隊ゆたぽんファイブ」
万葉公園・玄関テラス

久能木さん あとは、城願寺・五所神社ですね。

両方とも当地方の豪族「土肥次郎実平(どいじろうさねひら)」ゆかりの地ですが、どちらも湯河原の歴史に触れられるパワースポットとして有名です。

土肥次郎実平(どいじろうさねひら)

平安時代後期から鎌倉時代前期にかけて活躍した武将。
源頼朝から重用された人物で、のちに「関ヶ原の戦い」で東軍勝利の決め手を作った「小早川秀秋」(こばやかわひであき)を輩出した「小早川氏」の祖として有名。
「石橋山の戦い」で敗走した源頼朝を、通称「しとどの窟(いわや)」(現:湯河原町)と呼ばれる洞窟に匿って助けた
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、質実剛健で温厚な人物として描かれている。

五所神社
五所神社の御神木

湯河原を満喫、1泊2日のモデルコース

——もし1泊2日のコースを案内するとしたら、どんなプランをおすすめしますか?

久能木さん

1日目はアートや自然を楽しむことをメインに、2日目は歴史や体験を楽しむことをメインに考えた結果、このようなプランになりました。

  • 1日目:不動滝 〜 町立湯河原美術館 〜 万葉公園 〜 宿泊
  • 2日目:五所神社 ~ 城願寺 〜 ちぼり湯河原スイーツファクトリー
不動滝
町立湯河原美術館内にある「平松礼二 見えるアトリエ」
美術館内にある「MUSEUM CAFE and garden」

久能木さん 「ちぼり湯河原スイーツファクトリー」の工場見学や、クッキーバイキングは人気があります。また、店内はベビーカーでも入りやすい設計になっているので、小さいお子様連れの方も安心です。

ちなみに湯河原は家族的な旅館が多いので、気に入ってリピートされるお客様も多いです。ファミリー旅行にも良いと思います。

子ども向けのお菓子作り体験(要予約)
久能木さん

10月上旬〜12月下旬なら、みかん狩りもおすすめですね。ストレートのフレッシュみかんジュースを楽しんでいただけます。
他には、和菓子作りの体験も人気がありますよ。

みかん狩り
「和菓子処 味楽庵」の和菓子作り体験(要予約)

「湯かけまつり」と「ほたるの宴」

——伝統行事である「湯かけまつり」はとても迫力がありますね。観光客も参加できるのでしょうか?

湯河原 湯かけまつり

毎年5月の第4土曜に、湯河原町にて開催されるお祭り。
由来は、江戸時代に湯の効能が高いことから温泉の湯を樽に詰め、大名家や御用邸に献上した古事が始まりとされている。
当時は献湯神輿の出発に際し、道中の安全を祈願して温泉の湯をかけ御祓(おはらい)をする儀式があり、これを再現したものとされる。
(参考:湯河原温泉観光協会公式サイト

久能木さん はい。沿道に温泉の湯が入った樽が用意されているので、それを観客も神輿に向かって勢いよくかけます。

神輿の担ぎ手もみんな濡れますし、大変盛り上がります。盛り上がりすぎて、かつて取材に来ていたテレビのカメラが壊れてしまったこともありました(笑)。

——そんなことが!(笑)温泉地ならではのお祭りですね。他にメインとなるようなイベントはありますか?

久能木さん 6月上旬には万葉公園で「ほたるの宴」という、ホタルを鑑賞するイベントがあります。

湯かけまつりは5月の第4土曜の開催で、ほたるの宴はそのすぐ後なので、実はこの時期は忙しくて大変なのですが、観光客の方には毎年楽しんでいただいています。

ちなみに、ホタルは清流にいるというイメージを持たれることが多いですが、そもそもホタルは餌となる「カワニナ」という巻貝の仲間がいる場所に多く生育しています(※主にゲンジボタル)。
そして、このカワニナは、田んぼや用水路などに多く生息しているんです。

久能木さん

ホタルは意外と人間の生活圏に近いところで生息しています。
ホタルにとって良い環境は人間にとっても良い環境です。
河川を汚さないこと、自然な環境を保つ大切さをホタル鑑賞のお客様にご案内しています。

久能木さん 湯河原町全体では年間を通して河川の整備や清掃をおこなっており、それが結果的に湯河原の美しい環境の保全につながっていると思います。

湯河原には「新崎川」「千歳川」「藤木川」と3つの河川が流れていて、ヤマメやアユ釣りもできます。また、カワセミやカワガラスなどの生き物も生息しているんですよ。

千歳川の桜
万葉公園

久能木さん ちなみに、湯河原の川の美しさを楽しむには、気軽に行けるところであれば万葉公園がおすすめです。
ハイキングを楽しみたい方には、観光協会のHP内でもいくつかハイキングコースを紹介しているのでぜひご覧ください。

思い立ったら気軽に来てもらえるような場所に

——お仕事をされていて、どんな時に喜びや楽しさを感じますか。

久能木さん やはり、お客様と接している時です。パンフレットにも載っていないような裏話などをお伝えして、喜んでいただいた時などは嬉しいですね。

仕事柄、お客様から意外な疑問を聞かれることも多くありますが、30年以上この仕事をしている自分でも、まだ知らない湯河原があることに気付かされます。
例えば、みかん狩りでは「どの部分から採ると美味しいのか」とか。そういったことを調べたりするのも面白いです。

湯河原はいま、古さを残しつつ新しい湯河原温泉に生まれ変わる転換期だと感じています。

温泉の良さはもちろん、湯河原の魅力をもっと広く伝えるために、これからはSNSなども活用してPRしていきたいと考えています。

久能木さん

湯河原は首都圏からであればとても近いです。
きっちりプランしなくても、ポンと休みができたらフラッと行けるような、身近な場所として思ってもらえるようにしたいですね。

一般社団法人 湯河原温泉観光協会

〒259-0314 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566 万葉公園・玄関テラス2階
TEL:0465-64-1234
FAX:0465-63-1716

この記事の執筆者

吉田 さやか

不動産管理業・フリーペーパー広告営業・アパレル企業の事務・認知症高齢者向け介護施設スタッフ等の職種を経て、現在は4歳の娘を育てながらライターとして活動中。北陸育ち、関西在住7年、首都圏在住13年目。

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